2020年の日本は「コロナ」に沈み「韓国エンタメ」に沸いたと言っても過言ではないほど、日々韓国ドラマやK-POPの話題が尽きない。
これまでの韓流ブームまでは、どこか冷ややかに見ていた人や、あまり接点の無かったオトナ男性の口からも「愛の不時着」「梨泰院クラス」というワードが出てくるようになった。おうち時間の増加で娯楽を求める気持ちが強まっていることもあるだろう。
さらに日本を舞台にしたオーディション番組「Nizi Project」発のNiziUなど、日本人にとって一層身近に感じられるコンテンツも誕生している。
そんな中で今年8月、「12人中4人が日本人」というボーイズグループTREASUREがデビューした。日本でも知名度のあるBIGBANG、BLACKPINKを輩出したYGエンターテイメントが満を持して世に出した秘蔵っ子たちだ。
1stシングルアルバム「THE FIRST STEP : CHAPTER ONE」は予約の段階で16万枚を記録、デビュー曲「BOY」は19ヶ国のiTunesトップソングチャートで1位を獲得している。これはBIGBANGやBLACKPINKのデビュー時をも超える記録だ。そんな彼らを今後への期待を込めて“いま知っておくべき”グループとして紹介したい。
大手事務所5年ぶりの期待の新人、しかしデビューまで波乱万丈
TREASUREは韓国人8人に日本人4人の12人組。しかし最終メンバー確定とデビューまでにはなかなか険しい道のりと紆余曲折を経てきた。
彼らの出発点は2018年から2019年1月まで韓国で放送されたデビューサバイバル番組「YG宝石箱」だ。次世代のBIGBANGを目指す後輩練習生たちが、デビューメンバーとして選ばれるために自らの青春と夢を懸けてバトルするという内容。V LIVEやYouTubeを通して国外へも配信されており、日本のK-POPファンもその行方を見守っていた。
しかし番組終了と同時に華々しくデビュー!とはいかなかったのである。最終回で合格となったのは、たった4名。その後3名の合格者と「TREASURE」というグループ名が明らかになり、選ばれなかった練習生の中からも別グループ「MAGNUM」を結成する旨が発表されたが、デビュー計画は遅々として進まなかった。
それもそのはず、2019年はYGエンターテイメントにとって厄年であった。BIGBANGの元メンバーが起こした「バーニング・サン事件」、YGの顔ヤン・ヒョンソクが海外遠征賭博で起訴され代表を退くなどのトラブルが続発。事務所全体のイメージがどん底であったことも否めない。
社内事情と世相を鑑みても“今はそのタイミングではない”とジャッジしたのだろう。
その陰で候補生らにとって貴重な時間が刻々と過ぎてゆく。当時のメンバーたちの不安や、ファンのヤキモキする心境は想像に難くない。結果的に1名の脱退の末、2020年8月に「MAGNUM」メンバーを加えた計12名の「TREASURE」が誕生した。