日本人が韓国芸能界でぶつかる“男子の壁”
K-POPグループに外国人が所属すること自体、特に目新しいことではない。日本人メンバーを抱えるボーイズグループも増えてきている。しかしTWICE、IZ*ONEにしろ「日本人」を押し出して成功しているのはガールズグループ(肌感覚だが、韓国の芸能界において日本人女性は男性よりも好意的に受け入れられる傾向がある)。
さらに日本では大ブレイク中のNiziUでさえ、「全員が外国人のグループだなんて、K-POPの技術が海外に流出するのでは?」といった反感の声が上がったのも事実だ(これに対してはJ.Y.Parkが反論している)。
そんな中でのYGの挑戦、幸い韓国でも好感触のようだ。デビュー前から現地ファンがついており、マシホに対しては「韓国人メンバーと仲良さそうで微笑ましい」という声も上がっている。
K-POP業界が日本人を採用する理由と中国で負った痛手
日本人メンバーを採用するのはSM(NCT 127)、YG(TREASURE)、JYP(TWICE、NiziU)だけではない。BTSを輩出したBig Hitエンターテイメントも同様の動きを見せている。CJエンターテイメントとの共同プロジェクト「I-LAND」では日本人も数名参加しており、その中で1名が最終メンバーに勝ち残った。
なぜ近年、韓国の芸能事務所は日本人メンバーを採用するのだろうか。そこには「中国での失敗」と「日本市場回帰」という2つのキーワードが見え隠れする。
2010年から2015年にかけてのK-POPは中国人メンバーを入れるケースが多く見られた。当時は中国での韓流人気が凄まじく、“おいしい市場”だったからだ。一方、中国人メンバーが自国での活動を望んで帰国してしまうなど問題も頻発。さらに追い打ちをかけたのは2016年の「限韓令」、つまり中国政府による“韓流締め出し”だ。
政治とエンタメビジネスが直結する中国市場に比べ、日本は多少の浮き沈みはあれど安定的。加えて“熱しやすく冷めやすい”韓国のファンよりも、一度ファンになると末永く応援してくれる傾向もある。
そんな「マーケット事情」と「日本人ファンの気質」が日本市場回帰へ向かわせ、K-POPグループに日本人を採用する流れに至ったのではないかと推測する。BTSやBLACKPINKの動きをみれば分かるように、K-POPビジネスにとってアメリカ市場は憧れの最終ゴール。しかし日本も無視できず手堅い主要マーケットなのだ。
日本の若き才能も「韓国」を経由地として活用し、世界へ挑もうとしている。TREASUREの4人も日韓だけのアイドルで終わるつもりは無さそうだ。
9月18日に先行公開された新曲「I LOVE YOU」はストレートなラブソングでありつつ、後半はパワフルでやんちゃな”YGイズム”が健在。早くもLINE MUSICのデイリーチャート1位となっている。
本日22日にはセカンドアルバム「THE FIRST STEP : CHAPTER TWO」も発売。
いま活躍が始まったばかりの彼らが、日韓の枠にとどまることなく自由に大暴れしてくれることを期待している。
2020/9/22 20:13……読者からの指摘を受け、一部内容を修正いたしました。