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高齢化で現役世代は温存?

 ヤクザ業界で高齢化が進んでいるとは言え、若い組員も存在するはずだ。なぜ高齢者が拳銃を握ることになるのか。指定暴力団の古参幹部が、説明する。

「暴力団の対立抗争事件を、中堅どころとか、それ以上の幹部が起こしたとなると、これまでなら『若い衆は何をしているのだ』ということになっていた。しかし、ケンカで殺人となると無期懲役、殺人未遂でも15~20年の懲役と刑期が長い。若い衆が懲役に行くことになると、出てくるころには高齢者になっている。シノギのために、現役や若手は温存して年寄にやらせているというのはあるかもしれない。そもそもヤクザには酒の飲みすぎで『病気持ち』も多い。先が見えている老人が、ケンカに行くこともある」

銃弾が撃ち込まれた6代目山口組の高山清司若頭宅を調べる捜査員(2020年2月) ©️共同通信社

 さらに、暴力団員の経済的な事情もあると打ち明ける。

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「かつてとは違い、最近は暴力団排除条例などの締め付けでシノギ(資金獲得活動)が厳しい。食い詰めたヤクザが、刑務所から出ることはできないことを覚悟の上で事件を起こすこともある」(同前)

 山健組本部近くで2人を射殺した丸山も持病を抱え、所属していた組織に家族の生活維持を託すことを条件に銃撃を引き受けたという情報もある。

暴力団員の51%以上が「50歳以上」

 暴力団の高齢化は統計にも表れている。昨年末時点で警察庁が取りまとめた最新データによると、全国の暴力団組員約1万4400人のうち50代以上が51.2%と半数を超えているのだ。

 年齢別の統計を取り始めた2006年末以降で、半数を超えたのは初だという。60代も2006年の11.8%から12.3%へと微増、70代は2.3%から10.7%へと急増している。2006年には最多だった30代は、30.6%から14%へと半減している。

(写真はイメージ)©️iStock.com

 いま、暴力団をやめる者も増えているという。

 というのも、暴力団対策法でスナックやクラブなどの飲食店からみかじめ料と称する用心棒代を暴力団が徴収することを禁じられ、さらに2011年10月までに全国で整備された暴力団排除条例によって、飲食店が暴力団に資金提供することを禁止した。このことで、多くの暴力団は資金源が絶たれたのだ。