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暴力団が高齢化している以上、離脱者も高齢者が多い。ある古参幹部は、「ヤクザを辞めてシノギがなくなり、生活保護を受けている知人が何人もいる」と打ち明ける。
「70歳を過ぎて何か仕事をしようと思っても、この年だと職はない。どこも雇ってくれない。長年、ヤクザをやっていれば70歳を過ぎてまともな仕事をやろうという気も起きないだろう」(同前)
ヤクザに老後の不安はあるのか?
リタイヤする年齢になれば、老後の生活を支えるのは一般社会では年金となる。ヤクザの場合はどうなるのか。
前出の古参幹部は、「これまでほとんど職に就いたことがないから年金の保険料を納めたことがない。自分も結構な年になってきたが、今でもシノギはあるので老後の心配はさほどしていないが……」と社会保障とは無縁の生活実態を明かす。
別の40代の指定暴力団幹部も同様に「これまで年金は一度も納めたことがない」と語る一方で「いまシノギは順調で自信があるが、この先何十年も大丈夫なのかと考えると心配なのはその通り」と打ち明ける。
新型コロナウイルスに感染すれば、高齢者は急速に重症化することが危惧される。この40代の幹部によると、暴力団業界も大きな影響を受けたという。
「今年はコロナ騒動が広がり始めたころから、組の会合は縮小か延期となることが多かった。とにかく、身内には高齢者が多いから。事務所内で多数で集まるとすぐに『密』になってしまう」
高齢化という現実は、これから暴力団業界をどう変えていくのだろうか。(敬称略)