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「放置」と「要治療」の見分け方は…

 放置していいタイプもあれば、治療を急ぐこともある飛蚊症。どうすれば区別がつくのか。

「飛蚊症の悪性度を患者自身で確認することはできません。この症状を訴えて眼科を受診すると、検査法は決まっています。点眼薬で瞳孔を開き、目に専用のレンズをのせて硝子体を顕微鏡で観察するのです。この検査をすれば、早急な治療が必要か、あるいは様子を見ていいのかがはっきりします。ちなみに本人以外の人が、専用の装置を使うことなく、どんなに瞳を見つめても、目の中の“蚊”を見ることはできません」

飛蚊症の悪性度は眼科の検査が必要になる(写真はイメージ) ©️iStock.com

 飛蚊症の“影”は、若いうちはゆっくり動く。これは硝子体のゲルがしっかりしているからだ。ところが年齢を重ねるとゲル状の物質が液状化していくので、そこを漂う“影”の動きも粗大になりスピード感を増していくという。

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 ただ、生理的飛蚊症である限り、それが原因で視力に障害をきたすようなことはない。

「白い壁や青空など、“影”が見えやすい背景の時には見えますが、つねに“影”が視野に入り込むわけでもない。たとえ視野に入っていたとしても、意識が別のことに向かっていれば、気付かないことのほうが多い。ただ、一度できた濁りは自然に消滅することはないので、“影”は見えなくてもどこかにあります」

 眼科を受診する条件としては次のようなことが挙げられる。

・昨日までなかった“影”が突然現れた

・昔から見えていた“影”の数が最近増えてきた

・それまでとは明らかに形の異なる“影”が見える

・目やその周囲を強く打ったら“影”が出た

生理的飛蚊症は“ポジティブ”に考えよう

 検査で「生理的飛蚊症」と診断されたら、あまり気にしないことが最善の策。

 飛蚊症は、当人が右を見れば影も右へ行くし、左を見れば左へと寄っていく。

「目の中に気の合う仲間がいる」とか、「目に入れても痛くない蚊を飼っている」とか、何でも構わないからポジティブに考えたほうがよさそうだ。

 なお、飛蚊症の検査では瞳孔を開く薬を使うので、帰りは車やバイクが運転できなくなります。

 受診の際は、電車、バスなどの公共交通機関をご利用ください。