“普通感”を忘れたくない
――「池袋ウエストゲートパーク」についてどういった印象を持っていますか。
小説を初めて読ませていただいたとき、自分の過ごす日常とは縁遠いお話のような印象を持っていました。しかし読み進めるにつれて、違法薬物が引き起こした事故や、シングルマザーが抱えている問題だったり、作中でマコトたちが遭遇する事件は、日常のすぐ隣で起きていることなのではないかと感じるようになりました。
――1作目が書かれたのは20年以上前です。
20年以上も前の小説という印象はまったく受けませんでした。シリーズ初期の巻数ではスマホではなく携帯電話だったり、音楽を聴くのがラジカセのコンポだったり、書かれたときの時代背景を感じる部分もあるのですが、物語やキャラクターの雰囲気に違和感を覚えることは全くなく、夢中で読み進めていました。
――熊谷さんは沖縄ご出身とのことですが、池袋にはどのようなイメージを持っていましたか?
秋葉原と並ぶアニメとゲームの聖地で、乙女ロードという名前は聞いたことがあったのでとくに女性向けのコンテンツに強い街なのかなというイメージを勝手に持っていました。
――今回のアニメでどのようなマコトを演じたいですか。
(マコト――池袋西一番街にある真島青果店の息子。池袋で生まれ育ったため、『Gボーイズ』などのカラーギャングからヤクザ、果ては警察にまで顔がきき、子供から老人にまで好かれる好青年。ある事件を解決したことでその名が広まり“池袋のトラブルシューター”と呼ばれるようになる)
いい意味での“普通感”は忘れたくないと思っています。あくまで僕の印象ですが、マコトはすごく喧嘩が強いわけでもなく、天才的にIQが高いわけでもないと思います。
しかし彼は考えることを絶対にやめない人物です。諦めずにできることを探し続けて、トラブル解決のきっかけを摑む。自分の力で摑むこともあるし、誰かに助けられることもあります。普通の人間が必死にあがくときの感覚を大事にすることで、マコトの感情を表現したいです。