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 ここで役に立つのは、海底油田を探すときに使う技術だ。海底油田を探すときには、まず音波を使って海底に溜まった土砂の性質を大まかに調べ、それから井戸を掘って地下に何があるかを詳しく調査する。ジーランディア調査でも同じ方法が有効なのだ。

 実際に、調査船を使ってジーランディアを音波で調査した結果、そこにはかなり深い凹みがあること、そしてその凹みは土砂で埋まっているらしいことが分かってきた。あとは井戸を掘れば、ジーランディアの謎が解けるかもしれない――。

ジーランディアには“地球の謎”が秘められている

 このように大きな科学プロジェクトは、個人で進められるようなものではない。だからジーランディアに詳しい科学者が集まって、国際チームを作っているのだ。現在は日本・オーストラリア・ニュージーランド・ニューカレドニアなどの研究機関や大学の科学者が中心となって、30~40人規模で調査を進めている。

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 海底で深い井戸を掘るには莫大な費用がかかるため、プロジェクトの実現に向けて、それぞれが各国で政府や担当省庁と交渉している。順調に進めば数年以内に井戸を掘ることになるはずだ。

 そのときには、JAMSTECの調査船「ちきゅう」が活躍するだろう。「ちきゅう」は、“ライザー掘削”という技術を備えている世界で唯一の科学調査船であり、人類が未だ成し遂げていないマントルや巨大地震発生域への大深度掘削を目標にしている。同船は国際深海科学掘削計画の主力船としても、地球探査を行っている。

地球深部探査船「ちきゅう」 © JAMSTEC/IODP

 ジーランディアの謎が解き明かされる日、それは私たちの大切な星、地球がどのようにして今の姿になり、今後どのような姿に変化してゆくのか、私たちの理解がまた一歩進む日になる。

 もし大陸が沈んだり消えたりすることがあるのならば、過去の超大陸は実はもっと大きかったのかもしれない。あるいは、これまでに知られていない、別の超大陸があった可能性もある。

 さらには、大陸が沈んで“消える”などということが実際に起きるのならば、遠い未来の地球には陸地が一つもない……と、そんな可能性さえ考えられる。大陸が沈むということがもつ意味は大きいのだ。

 ジーランディアの研究から地球全体の謎解きへ、「ちきゅう」による深海調査への期待は大きい。