きょう10月1日は、DREAMS COME TRUEのベーシストの中村正人の62歳の誕生日である。昨年にはドリカムのデビューから30周年を迎えた。

62歳になった中村正人 ©getty

 1958年生まれの中村は、ビートルズ解散後の洋楽、泉谷しげるや吉田拓郎など日本のフォークを血肉として、中学時代からバンド活動を始める。音楽業界に入ったのは大学在学中。飲み屋のバイトで一緒になった人から「歌謡曲のバックをやらないか」と誘われ、セッションミュージシャンとしてキャリアをスタートさせた(誘ってくれた人はのちに音楽事務所のMSアーティストプロダクツの副社長となり、ドリカムを世に送り出す)。タレントのレコーディングでバックミュージシャンを務めたり、コマーシャルの音楽を手がけたりするうち、もっと仕事をとるためステージアレンジも勉強して始めた。とんねるずのコンサートのバックバンドにも参加し、観客を引き込む術を学んだという。

グループ名は中村が考え、吉田がつけた

 吉田美和と出会ったのは1987年。中村が当時組んでいたバンドで、吉田(当時22歳)がバッキングボーカルを務めたのがきっかけだった。そのバンドのライブリハーサルから帰る電車のなかで、彼が「曲を書くの?」と訊くと、彼女は「書く」と答え、「うれしはずかし朝帰り」と「週に1度の恋人」の2曲を歌ってくれた。それに中村は衝撃を受け、一緒にバンドをやらないかと持ちかける。それから約1年後、キーボード奏者に吉田と同郷の西川隆宏を迎え、DREAMS COME TRUEが結成された。「夢はかなう」という意味を持つグループ名は中村が考え、吉田がつけたという。デビュー当初は縮めてD.C.T.と呼ばれていたが、大阪のイベンターの人が言っていたドリカムという略称が、やがて世間にも広まり定着した(※1)。

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ライブで歌う吉田美和 2004年撮影 ©文藝春秋

 ドリカムの結成当時、中村は5年はライブハウスに出演しながら、自分たちの音楽を徐々に認めてもらうつもりでいたという。実際、すんなりと認められたわけではない。当時はバンドブームで、レコード会社の人にデモテープを聴いてもらっても、女の子のポップスはいらないと頭ごなしに言われたりした。シンガーソングライターはいらないが、もしかしたら吉田1人ならデビューはあるかもしれないと言われたこともあったという。