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「神様が味方してくれた」ドラゴンズ待望の正捕手、木下拓哉はもう一人のMVPだ

文春野球コラム ペナントレース2020

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自信をつけるために必要なのは「結果」

 もう一つ嬉しいのは、キャラクター性です。ドラゴンズの選手は実際に会うと明るい方が多いのですが、それをあまり表に出しません。お立ち台でもちょっと真面目ですよね。そんな中、木下拓哉選手はムードメーカーとしてチームを明るくして、いい雰囲気を明日につなげることができる選手です。

「試合前の練習の後にシャワー浴びてたら誰かの絆創膏が落ちていたので、神様がチャンスくれたと思って、本当に神様が内野安打にしてくれました(試合後に拾って捨てたと説明)。神様、ありあしたっ!」(9月22日)

「今日、ホテルで朝食食べた後、エレベーターで傘入れてるビニール袋が落ちてて、それを拾って捨てたので、神様が味方してくれたのだと思います。神様、ありあしたっ!」(9月26日)

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 ヒーローインタビューを聞いて、こんなにひょうきんやったんや、と驚きました。何より、これだけ木下拓哉選手のヒーローインタビューを見られているのがすごいことですよ。それだけヒーローになっているってことなんですから! ちょっとお調子者の部分もあると思いますが、試合中のミスも「お調子者だからしょうがない」と思えてしまうのがいいですよね(笑)。

 今の木下拓哉選手を見ていると、一つ一つのプレーに自信が満ち溢れていると感じます。

 自信をつけるために必要なのは「結果」しかありません。チャンスを与えられたとき、お立ち台に立てるぐらいの結果を出すことができれば、きっと選手としてものすごく成長できるのでしょう。

 僕にとっては全国放送に出ることが大きな勝負でした。結果を出せば次も出してもらえますが、結果が出なければそれまで。『最強スポーツ男子頂上決戦』という番組に呼んでいただいたときは、プレッシャーで1カ月ぐらいまともに食事ができませんでした。でも、そこで結果が出せれば自信につながりますし、次も呼んでもらったときの喜びは他では味わえないものです。

 プロ野球選手は毎日が勝負です。相手との勝負の前に、レギュラーを獲得するための仲間との勝負がある。チャレンジして、結果が出て、スタメンで使ってもらえるかどうか判断される。毎日そんなプレッシャーがあるかと思うと……僕だったら吐きそうになります(笑)。立浪和義さんに聞きましたが、実際、プレッシャーのあまり、ベンチ裏でえづいている選手はたくさんいるそうです。

 だからこそ、レギュラー争いを勝ち抜いた木下拓哉選手は、勝負どころでも強いのでしょう。優勝争いをするには、プレッシャーにも勝たなければいけません。そのためには高いレベルでのレギュラー争いに勝ち抜いて、さらにその先の実力と強い気持ちが必要になります。

 来季はケガが癒えたアリエル選手らとまた横一線からレギュラー争いが始まるのかもしれませんが、これだけの活躍を見せてくれている木下拓哉選手には大いに期待したいと思います! 正捕手がガッチリ決まって、今のような戦いを続けていければ、来季のドラゴンズの優勝も見えてくると思います。

 あと、親友の柳裕也の復活も、来季のドラゴンズの優勝争いには欠かせないことを付け加えておきます!

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