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 入団当初はバットの芯を外すカットボールや、緩急を生かしたカーブが大きな武器でもあった。「変化球投手」の一面も顔を覗かせる中でも本人は、ことあるごとに「直球が一番大事」と口にしてきた。ルーキー時代から取材してきた11年間でその信念はずっと貫いてきたと感じている。

「いやいや、まっすぐが一番大事やろ」

 こんなこともあった。2年前、前年の17年にドラフト1位で入団してきた馬場皐輔から「僕はプロでは変化球でかわしていく投球スタイルをしたいんですが……」と助言を求められた時、こう返したという。「いやいや、まっすぐが一番大事やろ」。最も時間を割き、必死に磨いてきた自負があった。「直球がないと変化球も生きないんで。僕は体の割にスピードもないんで……。投げ終わり(の動作)を大きくしてみたり。そういうことをやりながら直球を磨いてきたつもりです」。確かに、188cm、101kgの恵まれた体格から思い浮かべるのは豪腕なのかもしれないが、そのギャップを弱点とせず、打者を惑わす武器に変えてきた。

 ある年、春季キャンプ中に実戦形式の練習で対戦した歳下の野手が首をひねっていたことを思い出す。「秋山さんって体がめちゃくちゃ大きいからマウンドから“ぐわっ”って迫ってくる感じが凄いんですよね。威圧感というか。余計にまっすぐが力強く感じますし。前に飛ばない」。

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 投球フォームは今や少数派となったワインドアップを継続し「やっぱりピッチャーは振りかぶらないと」と胸を張る。いつしか「若虎」のカテゴリーから外れ、中堅に位置するようになった29歳。速さだけがすべてではない。160キロのストレートとはひと味違う“凄み”で今年も愚直にピッチャーの「原点」を体現し続ける。

チャリコ遠藤(スポーツニッポン)

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