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「1年目に15勝」と明言 ロッテのドラ2 明石商・中森俊介投手に感じた可能性

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/10/31

 10月27日。福岡ソフトバンクホークスがリーグ優勝を決め、千葉ロッテマリーンズのV逸が決定した。翌28日、兵庫のJR魚住駅に永野吉成プロ・アマスカウト部長と榎康弘チーフスカウト、黒木純司スカウトの姿があった。駅から車で5分。明石市立明石商業高校に向かっていた。ドラフト会議で明石商業のエース・中森俊介投手を指名。挨拶に出向いたのだ。

若者は何度もハッキリと15勝と口にした

 スカウトも日夜、チームの勝敗を気にしている。ネットでチェックをしたり、テレビ中継を見ながらチームと同じように一喜一憂をしている。それだけに最大の目標であるリーグ優勝を逃したことが悔しくて仕方がない。学校に向かう車の中の空気は重苦しいものだった。しかし、校門で出迎えてくれた若者の姿にパッと表情が変わった。中森は凛とした表情で指名のお礼を述べた。そしてプロでの抱負を語りだした。

「意識を高く持って行かないとプロではやっていけないと思っていますので1年目から二桁勝利を目指しています。将来的には20勝という目標はありますが現時点でそれを実現するのはまだ想像しづらいので、その中間の15勝を目標にしたいと思います。1年目に15勝。そしていずれは沢村賞を獲りたいと思っています」

 若者は何度もハッキリと15勝と口にした。記者会見でも15勝と言った。高卒の新人選手が1年目から15勝となると凄い結果となる。しかし、物怖じすることなく堂々と明確に目標として語り、その先の沢村賞も見据えている壮大な想いを披露した。

ドラフト2位の中森俊介投手 ©梶原紀章

 これには永野プロ・アマスカウト部長も嬉しそうに頬を緩めた。「大したものだ。なかなか言えることではない。しかも明確にその数字の理由を伝えてくれた。素晴らしいと思う」。

 マリーンズは中森が1年生の時から高く評価をしていた。中でも忘れられないのは今年7月、明石商業高校グラウンドで行われた大分商業高校との練習試合。スタンドレベルではなくグラウンドレベルで視察が出来たこともあり、臨場感が伝わり、凄みがより際立った。150キロを越えるストレートはもちろんだがスライダーに目が留まる。キレを感じた。そして軌道はストレートと同じ。スライダーの言葉通りに真横へとスライドした。「うおお」。思わず唸った。