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みうらじゅん「めざすエロ話は上品でポップな恥さらし」です

『人生エロエロだもの』発売記念インタビュー

genre : エンタメ, 読書

――今回の新刊『人生エロエロだもの』も、連載時から大幅に加筆・修正されましたが、珍しくほとんど書き直しがなかった原稿がありました。

みうら 「猫」を「ピンクローター」に置き換えて書いた「吾輩はピンローである」のことですね(笑)。この原稿は、夏目の旦那のテンポや言葉遣いのルールに従って書いたもんだから、直しの入れようがないんですね。この回を読んだいとうせいこうさんから「これ、ほぼ正確だね」って言われました。言葉遣いもパクって書いたので、「お咎めがあるんじゃないか」とドキドキしたんですけどね(笑)。

『もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一 菊池 良 著)

――“カップ焼きそばの作り方”をいろんな作家の文体で書いた『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』という本が話題になりましたが、「吾輩はピンローである」が「文春」に掲載されたのは、あの本のヒットより早かったですよね(笑)。

みうら 30年くらい前に、『坊っちゃん』を元ネタにしたエロ話を書いたこともあって、昔からネタに困ったら「文豪の文体でエロ話を書く」ってことをよくやってましたからね(笑)。

――もう1本、ほとんど直しが入らなかったのが「オノマトペ官能小説」です。

みうら あれはね、本当は純粋に“クチュクチュ”“ピチャピチャ”って、擬音語だけで書きたかったんですけど、それだけでストーリー展開をするのはやっぱり無理で、「もうダメー」とか「愛してるゥ?」とか普通のセリフを消せなかったのが無念でした……。映像だったら「バタン!」だけで倒れたのかドアが閉まったのかわかりますけど、活字だとわからないでしょ。オノマトペ文学の限界を感じました(笑)。

――今、机の上には、タバコ、ボトルのガム、午後の紅茶のペットボトルがありますが、執筆中はいつもこの3点が?

みうら はい、それが僕の原稿を書くときの「三種の神器」です。午後の紅茶は、赤いラベルのやつが好き。昔から、ガムを噛んでるかタバコ吸ってるかしていないと仕事が進行しないんですね。僕、乳離れも遅かったみたいで、うちのオカンが「あんたはな、口に何か物を入れてないとあかんかったんや」って言ってましたし(笑)。

 タバコは、原稿を書いたり、取材を受けているときだけ吸いたくなります。この前、青森に1週間旅行に行ってきたんですけど、その間は1本も吸わなかった。だから僕は、タバコ中毒ってわけじゃないと思うんです。原稿を書いたり、インタビューを受けたりするときって、面白くしようと思って話を盛ってしまう癖があって。ウソをついているってわけじゃないんだけど、話を3倍に膨らましてしまうというか……。そういうときって、タバコが吸いたくなる。だから僕がタバコを吸ってるときは、話を盛ってるときと思ってもらって間違いありません(笑)。

〆切り間近におじゃました。※後ろに控える女性は担当編集者ではありません。