昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

なぜ今年の7~8月に急増したのか

 ——女性の自殺の急増については「なぜ7~8月に急増したのか」というのも気になります。最も外出自粛が厳しかった3~5月は自殺が前年より大幅に減り、むしろ日常生活が徐々に再開されていった時期に増えました。なぜなのでしょう。

「コロナ禍で人と会えないことが問題だという分析もありますが、逆に『人に会わなければいけないストレス』についても考える必要があると思います。

 自粛期間で家にいる時は、他者の期待に晒される時間が減って傷つくリスクが抑えられていた。しかし学校や会社へ行けるようになることがリスクになるケースもある。統計的にも、新学期が始まる直前の3月末や、夏休みが終わる8月31日に自殺が増えるというデータがあります。研究によれば、『引きこもり中の人の自殺は少ない』という説すらあるほどです。

 他者とのコミュニケーションは救いになると同時に、繊細な人にとっては傷つけられるリスクもある諸刃の剣なのです」

芸能人は「どう見られるか」という意識の塊

 ——経済面やコミュニケーションでは説明がつかないように見える芸能人の方の自殺も相次いでいます。これはたまたまなのでしょうか、それとも理由があるのでしょうか。

「一般論として、芸能人の方の自殺リスクは大きいと推測されます。それは芸能人が『人からどう見られるか』という意識の塊のような職業だからです。

 木村花さんや竹内結子さんなど個別のケースについてはわかりませんが、人気があればあるほど『今の地位をこれからも維持できるだろうか』という不安は大きくなります。しかも、自分が他者にどう思われているかを人に相談しようとしても、『相談すること自体をどう思われるだろう』と不安になってしまう循環構造があるのです。

22歳の若さで亡くなった木村花さん(ツイッターより)

 そして自殺は、誰かの自殺が他の人のトリガーになってしまうことが多くあり、三浦春馬さんが亡くなった後は自殺相談の電話が激増したそうです。テレビ越しに見ていたファンですら大きな影響を受けます。まして過去に共演した人であれば、その影響を受ける人が出ても不思議ではありません」