文春オンライン

オードリー・若林正恭「東京にいると、自己肯定できなくなっちゃうでしょ」

キューバやコロナ後の東京を見て変わった“自意識”

2020/10/06
note

――春日さんに自意識の悩みを相談することは……?

若林 春日は、生きるのが上手なモンスターみたいな存在ですから。自意識って言葉もまだ理解してないでしょうね(笑)。そういうものがあるらしい、ぐらいにしか思ってないんじゃないかな。

結婚生活は新人なので……

――若林さんは2019年11月にご結婚されました。生活はどんな風に変わりましたか?

ADVERTISEMENT

若林 奥さんと一緒に生活するようになってから、今まで本当に自分のことしか考えていなかったんだなあ! と実感しました。反省しかないですよ。テレビを見るにしても、1人なら自分が見たい番組を見ていた。それが、奥さんと結婚して、20年ぶりにドラマをワンクール全部見てみたり、物を出しっぱなしにすると怒られたり。

 奥さんが干渉してくるタイプではないので、その距離感が心地よいんです。結婚前に3カ月くらい一緒に住んでいたのですが、その90日間で距離感はかなり確認しました(笑)。人間の欠点っていうものにかなり寛容な人なんです。僕の欠点もすごく笑ってくれるし。

©️文藝春秋

 でも、周りからは、「まだ新婚だから」とも言われるんです。結婚生活は新人なので、未知のゾーンにはちょっと恐怖心もあります。

タイムマシーンで縄文時代に行きたい

――奥さんと一緒に行きたい国や、奥さんに見せたい景色はありますか?

若林 そうですね……。青森の三内丸山遺跡……。

――遺跡、ですか?

若林 そう、あの縄文時代の。青森でライブをしたときに寄って、すごく楽しかったんです。縄文時代って、米とか食料を蓄積できないんです。だから、食べきれなかった分は人に分けた。そういう風に富を分配していたから、人間の争いが少なかったって聞くんです。でも、人間なのにそんなことある? 本当にいじめとかなかったのかなあ? って思ってて。

 だから、行きたい国はないんですけど、タイムマシーンで縄文時代に行きたいって思う。って、こんな子供みたいなことを言ってて大丈夫かな(笑)。

©️文藝春秋

 そうそう、國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』 を読んだ時に、“もともと人間は、ゴミとか排泄物で汚れるたびに遠くに移動していた。部屋が片付けられなくても、それは、人間はゴミを片してこなかった生物だからなのだ”って書いてあったんですよ。システムがなかったら人間ってそうなるのか、ずっと考えてしまう!