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「まるで薬師丸ひろ子の歌の世界なんだ」韓流歴20年の松本隆が“Wの悲劇”を感じたトップ女優とは

2020/10/19
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 ステイホーム中にNetflixドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』に夢中になったという人が続出、第3次韓流ブームの到来といわれる昨今。「韓ドラなら、『応答せよ』シリーズがNo.1。これを観ないと人生損してるよ」と断言するのは作詞家の松本隆さん。実は松本さん、海外ドラマを観るのが大好き。中でも韓流ドラマ歴は20年以上(!!)なのだ。

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『冬ソナ』からペ・ヨンジュン出演作品へ

松本 いつだっただろう。シム・ウナ主演の『八月のクリスマス』(※1)だったかな。いや、『JSA』(※2)だったかもしれないな。とにかく、韓流の入口は映画だった。ドラマは『冬ソナ』から。

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この日、観ているのは『賢い医師生活』 ©️Izumi Karashima

——王道の『冬のソナタ』(※3)。それはNHKでやっているときに観たんですか?

松本 もう覚えてないな。たぶん追っかけだとは思う。追っかけついでに、DVDでいくつかまとめて観て。そうしたら、『若者のひなた』(※4)というドラマがあって。

発売中の『週刊文春WOMAN vol.7 (2020秋号) 』に掲載

——さかのぼったんですね、ペ・ヨンジュンの歴史を。

松本 炭鉱町で育った男の子がソウル大に入って出世していく話なんだけど、ペ・ヨンジュンは準主役。ああ、これって、「木綿のハンカチーフ」だなって(笑)。

 ——松本さん作詞、筒美京平さん作曲、太田裕美さんが歌った「木綿のハンカチーフ」。都会へ行った男の子と地元に残った女の子の悲恋を描いた歌ですが、なるほど確かに。そこにピピッと来たわけですね。

ヨン様といえばこのポーズ ©共同通信イメージズ

松本 来た。で、その次に、やっぱりペ・ヨンジュンで、『愛の群像』(※4)を観て。彼の初期ってすごくいいんだ。真っすぐなところがね。しかも、ラストシーンがものすごくよかった。相手役のキム・ヘスが抜群。まるで僕が書いた「Woman~Wの悲劇より~」なんだ、薬師丸ひろ子の。あの歌の世界をそのまま映像化してくれた感じがして。韓ドラによくある、ガンか白血病になる話なんだけど、その死に方が美しいんだ。

『愛の群像』

 ——ご自身の曲とオーバーラップさせて観るんですね。

松本 そう。昔、音楽評論家の小倉エージさんが、「松本君は韓国で人気ものだよ」って言ったんだ。もちろん、一般の人たちは僕の歌なんて知らないけれど、向こうのミュージシャンは、日本の音楽を熱心に勉強していたし、すごく研究していたらしい。だから、「あ、これはもしかして影響されているのかな?」というものを見つけると、ちょっとうれしくなっちゃうんだ。そんなの、単なる偶然の一致なんだろうけどね(笑)。