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「ワタミは騒がれるまで何もしてくれなかった」ワタミの宅食・営業所長が告発する“二重の裏切り”

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「末端で何が起こっているのか知っていますか?」

――ブラック企業批判を経験したワタミは、ホワイト企業へと変わったことをしきりにアピールしていました。今後、ワタミは変われると思いますか。

Aさん 思いません。問題を正せるような組織になっていないからです。

 今回、ワタミは「是正勧告を重大に受け止め、経営責任を明確にするため」として、代表取締役会長兼グループCEOの月額報酬を6ヶ月間50%減俸、代表取締役社長兼COOの月額報酬を同じく6ヶ月間30%減俸するという処分を発表しました。

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10月2日には厚生労働省で会見を開いた ©文藝春秋

 しかし、問題は上層部が責任をとればいいという話ではないと思います。そもそも、会長の渡邉美樹氏をはじめ、会社の上層部は末端でどういうことが起きているのか、ご存じないのではないかと思うからです。

 現場の所長たちはギリギリのところでがんばっていますし、配達員の方も決して高くない手数料で働いています。この現場の実情が適切に共有される仕組みにならない限り、状況は何も変わりません。代表取締役の減給で解決する問題ではないのです。

 何より変えるべきは、こうした状況や問題の共有が進まない体質です。9月28日に記事が公開されるまで、私が何度労働環境改善を訴えてもロクな回答がなかったのに、記事が公開された途端、手のひらを返したように「謝罪したい」「問題を解決しよう」と相次いで連絡が来るようになっています。

 どうしていままでは放置していたのに、世間に騒がれたら急に手のひらを返すのか。これでは、現場で働く人間は「会社は自分たちのことを見ていない、世間からの評判だけ気にしているんだ」と思ってしまいます。

 こうした不誠実な対応をとる体制を改めて欲しい、現場の置かれた状況が適切に上層部に伝わって欲しい。それが、いまの率直な思いです。

©文藝春秋

◆ ◆ ◆

 Aさんは現在、残業代の未払いだけでなく、違法な時間外労働や違法な休日労働についても、労働基準監督署に申告しているという。

 9月15日に労働基準監督署の是正勧告が出た後も、不誠実な対応が続いたというワタミ。Aさんの訴えは、どこまで届くのだろうか。

「ワタミは騒がれるまで何もしてくれなかった」ワタミの宅食・営業所長が告発する“二重の裏切り”

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