いま、女児向けアニメ「プリキュア」が大人にも大人気です。
2004年に始まり今年(2020年)で17年目を迎えた子供向けアニメ「プリキュア」シリーズ。1年で1作品が放送され、今やシリーズ累計で64人以上ものプリキュアが登場しています。プリキュアの主な視聴ターゲットは3~6歳の子供。しかしここ数年、大人世代からも熱い視線が注がれているのです。
「プリキュアを 娘卒業 パパ留年」
2019年には公共放送NHKでプリキュア特番「全プリキュア大投票」が放送され好評を博し、文化庁のサイト(https://mediag.bunka.go.jp/article/article-15925/)でもプリキュアの紹介記事が書かれるなど、大人世代にもプリキュアが認識されるに至っています。
プリキュアが放送される日曜日の朝はTwitterのトレンドに必ず入り、全国に3店舗ある「プリキュアグッズ専門店(プリティストア)」の新製品発売日には早朝からオトナたちが長蛇の列を作り、人気の新商品は午前中に完売する事もあるのです。2020年9月には「東京ガールズコレクション」とのコラボも実現しました。
プリキュア界隈には「プリキュアを 娘卒業 パパ留年」という川柳がある様に、娘はプリキュアを卒業したのにパパママはずっと留年中、という「一度ハマったら抜け出せない大人」も多いのです。(自分もその1人です!)
なぜ今、プリキュアが子供だけでなく大人たちをもそんなに惹きつけているのか?
もちろん、プリキュアには魅力的なキャラクターや、物語の素晴らしさ、美麗な3DCGや良質な楽曲など、大人が惹かれる要素は多々あります。しかしそのなかでも、特にSNSなどで大きな話題になるのは“イマドキの価値観”なのです。
作品ごとに常に表現をアップデート
プリキュアはスタートからこれまで16年以上も支持されています。長寿アニメには「ドラえもん」や「サザエさん」など1つの世界観で変わらぬ良さを守っている作品が多いですが、プリキュアは違います。作品ごとに様々な価値観が提示され、常に表現をアップデートしているのです。
プリキュア開始時のコンセプトは「女の子だって暴れたい」でした。それまで女児向けアニメには、男児向けアニメや特撮にあるような本格的な戦闘シーンが描かれることは多くなかったのです。
しかし「ふたりはプリキュア」では女の子がパンチやキックを駆使して悪と戦いました。キュアブラックの「重いパンチ連打」やキュアホワイトの相手の力を利用した投げ技など、格闘シーンはかなり本格的。革新的な女児向けアニメに、当時も大きな話題になりました。