ベーシストであり、マンガ家であり、お父ちゃんであり、新潟出身……と共通点の多いケイタイモさんと劔樹人さんのトークイベントが開催されました。育児のこと、マンガのこと、音楽のことについて熱く語り合ったイベントの模様をお伝えします。
◆ ◆ ◆
2人がマンガを描き始めた意外なきっかけ
ケイタイモ つるちゃんとは、もう十何年の付き合いだよね。
劔 そうですね。僕とケイタさんは、たしかに肩書きは似ているかもしれませんが、ケイタさんはCDのジャケットを描いたりもされていて、音楽活動と絵を描くことがちゃんと結びついているじゃないですか。僕はまったく結びついていないんですよ。普段やっているバンド(「あらかじめ決められた恋人たちへ」)と描いているマンガの世界観が違いすぎて……。簡潔に言うと、バンドのほうはちょっとカッコつけているんですよ。
ケイタイモ あはは。たしかにちょっとエモーショナルだよね。
劔 はい、普段の自分との差がありすぎて。僕がいるせいで足を引っ張っているんじゃないか、とすら思ってしまって。ケイタさんは音楽活動もマンガ描くことも普段の生活も一本筋が通っている感じがして、いいなと思うんですよ。
ケイタイモ つるちゃんはなんでマンガを描き始めたの?
劔 僕が「神聖かまってちゃん」というバンドのマネージャーをやっていた2011年頃、雑誌の「EYESCREAM」がWEBを強化するためにクリエーターを集めてブログを始めることになって、僕にお声がかかったんですよ。「やります」と言ったんですけど、ほかは映画監督とかミュージシャンとかおしゃれな人たちで、世界観が僕とは逆で。しかも「クリエーターブログ」と書いてあるのに、僕は何もクリエイトしていない。「まずいな」となって、しょうがないからマンガでも描いてみるか、と。それで描いたのが最初です。
ケイタイモ それが『高校生のブルース』という単行本にまとまったんだね。
劔 そうです。このマンガは、苦し紛れに描いたものだったんですけど、一部の人に評判がよかったんです。帯文をいただいた、氣志團の綾小路翔さんとか映画監督の大根仁さんとか、UNDERCOVERの高橋盾さんとか、テレ東「ゴッドタン」の佐久間宣行プロデューサーとかが、面白いとSNSで紹介してくれたんです。
ケイタイモ へえ~、そうなんだ。
劔 それで僕、売れちゃうな、と。あの人たち、10万人とかすごいフォロワーがいるじゃないですか。なのに全然リツイートされないんですよ(笑)。その人たちが持っているお客には全然響かなかった。
ケイタイモ ほんと?
劔 『モテキ』が話題になっていて、目利きとしても間違いないとみんなに思われていた大根さんが推してくれて、大根さんのラジオ番組にも呼んでいただいて、「今年一番面白かった人物」とまで言ってもらったのに……。大根さんが推して唯一ヒットしなかったのが僕なんですよ(笑)。ケイタさんはなんでマンガを描き始めたんですか? しかもインスタで毎日更新ってすごすぎるじゃないですか。
ケイタイモ バンドの新しいアルバムを作ろうとしたときに、マネージャーから「いまアルバム作っても、売れる枚数は落ちますよ」と言い切られたんだよ。それで、「作戦を練りましょう」と。「ケイタさん、絵が描けますよね?」と言われて、「マンガだったら描けるかな?」となって。