今回のテーマは、「天空」である。この言葉を聞いて何を思い浮かべるかはまさに人それぞれだろう。ジブリファンならば迷いなく「天空の城ラピュタ」。ゲームが好きならドラゴンクエストV「天空の花嫁」だろう。ビアンカとフローラ(とデボラ)の間で板挟みになるアレだ。ちなみに筆者は何度かプレイしているがビアンカ以外を選んだことがない。

 で、鉄道ファンは「天空」に何をイメージするのか。ひとつは、南海高野線を走っている観光列車「天空」。高野山を目指して山を登っていく列車だから、まさにこの言葉にふさわしい。そしてもうひとつ、モノレールか京急に乗って羽田空港を目指すときに通り過ぎる「天空橋」という駅である。

羽田空港までの“ナゾの途中駅”「天空橋」には何がある?(筆者撮影)

「おお、いよいよ羽田だ」

 筆者の場合はだいたいバスかモノレールで羽田空港に向かう。バスのときは寝ているうちに着いてしまうのであまり道中を意識することはないが、モノレールだと天空橋駅あたりで「おお、いよいよ羽田だ」となんだかちょっとワクワクしてしまう。その前後には整備場駅、新整備場駅、昭和島駅、流通センター駅などがあるが、これらがどちらかというと無骨なイメージなのに対して、天空橋駅だけはまもなく空の旅が始まるぞ、という期待感を高めてくれる。

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 飛行機が大の苦手の筆者ですらそうなのだから、たまの旅行でモノレールに乗っている人ならなおさらだろう。コロナ禍で控えていた旅を政府の「キャンペーン」に乗って久々に、ともなるとますます天空橋駅は旅の入り口にふさわしい駅の名前に聞こえてくる。

今回の路線図。天空橋あたりに来ると「いよいよ羽田」だと感じる

 ところが、残念ながらこの天空橋駅で降りる機会はめったに……どころか一度もない。天空のベルを鳴らせばマスタードラゴンがやってくるのか、それともロボット兵がいるのか。試しにバルスと唱えたら羽田空港が崩壊してしまうのか。とにかく天空橋駅はどんな駅なのだろうか。