週刊文春の表紙を担当する和田誠さんが亡くなって1年。

「水曜になるとね、和田さんが家じゅうを歩き回っているんです。何しているのと聞いたら『今日は文春を描く日なんだ』って」

 妻の平野レミさんがこう振り返る通り、和田家を訪ねると、下駄箱の上、階段、トイレ、いたるところに見覚えのある小物たちが置かれていることに気がつく。

ADVERTISEMENT

 10月7日の命日には、これまでの全表紙が収録された『表紙はうたう 完全版』(小社刊・税別9000円)も発売。

 和田誠さんの目線になって、和田家を探検してみよう。

◆ ◆ ◆

玄関で出迎えてくれたのは……

撮影 榎本麻美

 玄関で早速出迎えてくれたのは、こいのぼりの飾りと、招き牛。招き牛は、ブラジル在住の週刊文春読者から贈られてきたもので、お尻を正面に向ける形が正式なのだそう。

「顔を正面に直しておいたら、和田さんが『違うんだよ』って教えてくれたんです」(レミさん)

 窓際にちらりと見えるキセルを吸う犬の貯金箱も、もちろん表紙に。

2007年5月3日・10日ゴールデンウィーク特大号〈背くらべ〉
1986年2月27日号〈アイム・ウォーキング・ビハインド・ユ―〉
2009年6月11日号〈老犬トレイ〉