朝の情報番組で特集されたりするなど「メシハラ」が大きな関心を集めている。

 実際のところ、メシハラは昭和の時代によく見られたハラスメントだが、令和になっても上司や先輩に「無理やり食べさせられた」と訴える怒りの声は相変わらず多い。メシハラ被害に遭った人たちの声を集めて実情を探ってみた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

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グルメレポートのロケで余った食事を完食させられるAD

 メシハラとは、上司や先輩など、立場が強い者が無理やり食事に誘ったり、出された食事の完食を強要したりする行為のことだ。

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 以前、タレントの上沼恵美子が仕事終わりで疲れ切っている番組スタッフを有無を言わさず高級焼肉店に誘い、とても食べきれないような大量の肉を注文、残さず完食することを半ば強要したと報じられた。しかし、「テレビ業界では、その手のメシハラは日常茶飯事です」と話すのは、とあるバラエティ番組のADをしているAさん(28歳、男性)だ。

「テレビの収録では出演者のために弁当を用意するんですが、余ると『若いんだからお前が全部処理しておけ』とディレクターに残さず食べることを強要されるんです。でも、それより嫌なのはタレントさんが実食するグルメレポートのロケですね」(Aさん)

上沼恵美子さん

 グルメレポートのロケでは、実食用とインサート(料理をおいしそうに見せる別撮りの映像)用の2つの料理を用意する。番組を観る視聴者にはおなじみの光景だろう。

「ところが、演者さんは少ししか食べないし、残すと店に悪いので、その料理はディレクターの命令で結局ADの僕が全部食べさせられるんです。ディレクターは『こんなうまいもの普段食べられないだろ。味わって食え』と恩着せがましいことを言うんですが、2軒も3軒も続くと吐きそうになりますよ。実際に後で吐いたこともあります」(同)