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「富士登山者における富士山頂みたいなものですね」

「数字は僕にとって、表現をするときの言語」

 会場で宮島達男氏ご本人から、話を聞くことができた。

 かれこれ30年以上も数字を用いて作品づくりを続けていると、アーティストとして「飽き」がきたりはしないものだろうか?

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《Innumerable Life/Buddha MMD-03》2019年 (部分)

「生まれてこのかた、日本語をずっと話してきたって飽きることはないでしょう? 内容を伝えるために日本語を使っているのだから当然です。同じように数字は僕にとって、表現をするときの言語。それを使って何を伝えるかを考えているから、飽きるなんてことはもちろんありません」

 自身で打ち立てた「3つのコンセプト」も、30年来ずっと変わらない。飛び越えたり方向性が変わったり、揺らいでも不思議ではないのに、なぜかくも守り続けることができるのか?

《Counter Skin on Faces》2019/2020年

「3つのコンセプトは、つねに仰ぎ見る目標みたいなものだからですよ。この3つの言葉は何かの答えというわけじゃなくて、いつかたどり着きたい地点としてある。そこへ向けて僕はいまも歩を進めているし、いつか到着したいといつも憧れている。富士登山者における富士山頂みたいなものですね。

 万人にとってそうなるかはわからないけれど、これは僕にとって大きな指針なんです。だからいつまでも変わらないし、揺らいだりすることはこれからもないでしょう」

 変化し続け、あらゆるものと関係を結び、永遠に続いていく何か。宮島達男が追いかけ続けるものを、会場でぜひ追体験してみたい。

《Floating Time》2000年 1階「さや堂ホール」で展示