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 発端となったウグイス嬢に対する法定上限を超える違法報酬事件を、「週刊文春」(2019年11月7日号)が初めて報じたのが昨年10月末。そこからすでに1年近い時間が経過している。通常、国会議員の場合、警察が扱う選挙違反事件は投開票が終わるとすぐに捜査に着手し、違反が議員本人にも影響する場合などにはすぐにその当選を無効にされるケースもあるほどだが、今回は極めて異例だ。

 夫妻にはこの間ずっと、それぞれ月130万円ほどの報酬と100万円の文書通信交通滞在費が支払われていたとみられる。コロナ禍で多くの国民が苦しむ中、6月には夫妻に夏のボーナス各640万円ほどが支給され、12月のボーナスも解散総選挙でも行われない限りは手にすることになるだろう。

©️iStock.com

法廷では大声で証人に圧力

 そしてようやく行われた裁判も、法廷は“無法地帯”と化している。

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 そもそも克行被告は弁護人を突然解任したことで、審理を行えない状況を作り出していることに加え、冒頭にもあるように発言権のない状況で大声を発するなど、「パワハラ気質」だというその片鱗を法廷内でも見せている。

 陣営に長く仕える案里被告の60代の女性秘書の証人尋問が行われた際、夫妻の弁護側からの「(あなた自身の)容疑は何だったのか」などといった検察の捜査についての質問に、答えに窮した女性秘書はしきりに、検察官の方向を向き「助け」を求めた。これに苛立った克行被告は大声で発言したのだ。理由はともあれ、法廷という神聖な場で、証人に圧力をかけることは決してあってはならない。一時とはいえ法務大臣を務めた人間とは思えぬ行為だ。

 一方の案里被告は、初公判では眠ったように長い間目をつぶったり、少しおもしろいことがあると笑ったりと、他人の裁判を傍聴しているかのような様子だ。

河井案里被告 ©️AFLO

 10月13日の公判では号泣して裁判をストップさせるシーンもあった。この日の証人だった広島市議が克行被告に「過去に恫喝された」などと訴えたからだ。「主人のご無礼をお許し下さい」涙を流しながら頭を下げ、傍聴席は呆気にとられた。