柔道3段、「温厚」との評判もある先生が生徒に激高した理由は、「勝手にアイスを食べたから」だった。まだ体もできていない中学1年生の男子生徒2人は延々30分間、黒帯の柔道家に絞め落とされ、失神してはビンタで起こされ、骨が折れるまで寝技をかけられ続けた。
にわかに信じがたいこの話は10月12日、兵庫県宝塚市立長尾中学校の数学教諭、上野宝博容疑者(50)が宝塚警察署に逮捕されて発覚した。顧問を務める柔道部の男子部員2人に投げ技をかけて両頬を殴り、さらに寝技をかけ続けた末の傷害容疑。1人は首に軽い打ち身で済んだが、もう1人は背骨を折る全治3カ月の重傷だった。
「今さら許さへん」と怒鳴り、生徒が気絶しても投げ続けた
事件は9月25日午後4時半頃、柔道部が活動する道場で起きた。宝塚警察署の幹部が説明する。
「その数日前、冷蔵庫の中にあったOBからの差し入れのアイスキャンディーが数本なくなっていたことが発覚した。上野容疑者らは部員らに『誰が食べたんや』と聞いて回ったが、だれも名乗り出なかった。その後、問いただされた2人の生徒が認めたんだが、それで上野容疑者の怒りが爆発したらしい」
この日、集まった部員らの前に2人を呼び出した上野容疑者は、「嫌だ」と叫ぶ生徒に「練習技」と称して30分間、柔道技を振るい続けた。生徒は何度も「ごめんなさい」と謝ったが、「今ごろ言うても遅い」「今さら許さへん」と怒鳴り、生徒が気絶しても投げ続けた。