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 日本の大学教授らによる「『複数担任学級』の意義と効果」の研究では、たとえば副担任の教員制度を活用するなどして、状況に合わせて教室に大人が2人いる状況を確保することで、さまざまなメリットが得られることがわかった。

 何よりも児童の多面的なケアに効果が認められ、かつ採点やノート点検等の教務事務、また教材準備や教室整備等の役割を分担し、広く学級経営の改善にも寄与するなど、複数担任制度の重要性を明らかにしている。

※写真はイメージ ©️iStock.com

日本の子どもの「精神的な幸福度」は38か国中37位

 1人は授業の進行、もう1人は本来担任がひとりで行なっていた事務作業をしながら、同時に、クラス内で気になる子どもへの対応を行うなどすることで、業務の分担による教員の負担軽減にくわえ、子どもたちの安全確保にも非常に効果があるという。

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「複数担任制度」の実現には、まず教員の人的不足、そして費用対効果が壁となる。しかし、本研究によれば、教育委員会はもとより個々の学校において人的リソースを得る場合の「費用効果」が認められれば、少人数教育推進における学校裁量は、一つの具体策として検討可能な範囲内であるとされている。

 ユニセフが実施した「子どもの幸福度」をはかる調査によれば、日本の子どもの「精神的な幸福度」は先進国や新興国など38か国中、37位であることがわかった。ちなみに「世界でもっとも子どもが幸せな国」と言われるオランダでは、複数担任制度が積極的に採用されている。

※写真はイメージ ©️iStock.com

 日本でも今後、学校における子どもの心理的安全性を確保する重要性についての理解が深まれば、少なくとも教員による子どもへの心理的虐待を減らす一定の効果が期待できるはずだ。教員だけでなく、生徒間で行われる「いじめ」についても同様だといえる。

 教員からいじめを受けていた当事者として、これから子どもを持つかもしれない人間として、一刻も早く、子どもが安心して通える環境整備が行き渡ることを、強く願わざるを得ない。