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 納豆ブームなどにお義母様が乗らなかったのは、ステルスマーケティング(宣伝と気づかれないように行われる宣伝工作)ではないかと怪しまれたからではないでしょうか。脳の正邪を判定する領域は、あまりに商業的なことは、正しくない、と判定するという面白い性質を持っています。

口実を作って距離を置き、かわし続けて

 どんなに現代のエアコンは身体のために良いのだと主張をしたところで、お義母様にとってはエアコンの設置は“悪”なのでしょう。お義母様も理論武装されていて、討論になれば年季が違うでしょうし、家族関係等のしがらみを考えてもおそらくあなたに勝ち目は薄いことでしょう。

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 こうした場合、考えを改めさせようと企図するよりは、うまく口実を作って距離を置かれるほうがより合理的ではないかと思います。密な関係をとらないことに最初は後ろめたさをお感じになるかもしれませんが、実は、適度な距離感の関係を築くことはお互いにとってとても良いことなんです。夫婦間ですらこれは同じことが言えます。

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 近くにいれば、人間は「なぜ同じルールで動いているはずなのに、あの人は私の意図と違う行動をするのだ」と互いに責める気持ちが強まり、どんなに大切な相手であっても、必ず争いが生じます。いえ、大切に思っている相手だからなおさら、かもしれません。努力すれば争いをなくせる、というのなら、努力しなければ争いはなくせない、ということです。

 そこで、互いが気持ちよくいられるような、良好な距離を保ち続けるために、言い訳をたくさんストックし、いざというときにすぐ使えるようリストアップしておきましょう。そして、相手のツボをよく観察し、短く効率のいいやり取りで相手をいい気分にさせて一緒にいる時間を長くしようとする誘導を可能な限りかわすのです。

 たまには違う文化に触れてみようかなと、余力のあるときにだけ、言葉の通じる外国を旅しにいくような感覚で訪問できるような距離感がベストではないかと思います。べったりと一緒にいるよりもずっと、そのほうが心地よく、互いにリスペクトし合って、良好な関係を長続きさせることができるだろうと思います。

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text:Atsuko Komine

週刊文春WOMAN vol.3 (2019 夏号)

 

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2019年8月16日 発売