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「父と死別、ひきこもりの老母が心配です」(49歳女性)…中野信子が教える“寝たきり回避法”

あなたのお悩み、脳が解決できるかも?

2020/10/07

 みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えします。

中野信子さん ©文藝春秋

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Q 母の“やる気”に火をつけたい─49歳・半農半会社員からの相談

 姑が無農薬の農業をやっています。夫も私も会社勤めですが、週末は畑仕事を手伝います。83歳の姑は足腰が丈夫。

 一方の私の母は若くして夫と死別し、自宅で賄いつきの下宿屋を営んで兄と私を育ててくれましたが、十数年前に自宅を引き払ってマンション暮らしになってからは滅多に外出しなくなってしまいました。私は祖母があまり外出しなくなったまま寝たきりになったのを見ていますから、このままでは母も寝たきりになるのではないかと心配です。

 そこで週末だけの食堂を開き、母に切り盛りしてもらいたいと考えています。母は料理上手で、食品衛生責任者の資格もあるし、安全な食材は私たちがつくっている野菜を提供できるし、すぐにでも店が開ける条件が整っています。食事がないがしろになっているお年寄りに栄養満点の食事を提供するという社会的貢献もできます。

 しかし、どんなに誘っても腰を上げてくれません。かつて生き生きと下宿人たちの食事をつくっていた母にぴったりの、母が好きな仕事のはずなのに……。どうしたら母の“やる気”を引き出せるでしょうか。

最新話は発売中の「週刊文春WOMAN 2020 秋号」にて掲載中

A お母様は滅多に外出しないとのことですが、日頃、日光は十分に浴びることができているでしょうか? 私たちが“やる気”を出すか出さないか。それには脳内で行き交うセロトニンという神経伝達物質の働きが大きく影響します。セロトニンは日光を浴びることで合成のスイッチが入るので、あまり日光を浴びることができないと、なかなか“やる気”が出なくなってしまうのです。

 セロトニンの低下が原因でないとすると、働き者でいらっしゃったお母様は、仕事場でもあったご自宅を十数年前に引き払ってマンションに居を移した時点で、お母様にとっての“ゴール”を達成してしまったのではないでしょうか。子どもたちも成長して、もう心配はない。あとは余生だと安心されたのかもしれません。