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「刺青が分からないように刻まなきゃ」遺体をサイコロステーキに…平成最大の猟奇殺人、凄惨な実態

2020/10/22

genre : ライフ, 読書, 社会

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物的証拠はほとんどなく、捜査は自供で進行

 第一の殺人の直後から関根、風間、中岡は捜査当局の監視対象になったが、遺体が関根によって跡形もなく解体されてしまったため、物的証拠はほとんどない。中岡の自供によって、犠牲者の物であった、焼け焦げたロレックス、鍵、ライター、義歯が山林から見つかったが、それらは殺人があったことを示すのみで、誰がどのように殺人を行ったのかを語るものではない。それゆえに捜査は中岡の自供、そしてそれによって逮捕された、関根や風間らの自供なども交えて進められた。

 2009年6月5日、最高裁で関根と風間への死刑判決が確定。中岡へは1996年6月7日、東京高裁で死体損壊・遺棄で懲役3年の刑が確定し服役、1998年8月28日、満期出所した。関根は2017年3月27日、東京拘置所にて多臓器不全で死亡。東京拘置所に収監されている風間は、再審請求中である。

『実録ドラマ 3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』番組公式HPより

起訴の元になった供述が法廷で覆された

冒頭の『実録ドラマ 3つの取調室 ~埼玉愛犬家連続殺人事件~』では、内田朝陽演じる中岡洋介が、法廷でこのように語るシーンがある。

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「人も殺してないのに、なんで死刑判決出んの? なんで(風間)博子がここにいんのよ。問題は殺人もやってないのに、なんでこの場にいるかですよ。それで釈放しないというのはおかしいですよ。俺が出てるんだから」

 事件に関わった中岡の供述によって、関根と風間の2人は起訴されて有罪となったわけだが、2人の法廷に証人として招かれた中岡は、風間は殺人は行っていないと証言したのだ。

 この発言は、2004年2月23日、東京高裁での控訴審第3回公判でのもの。風間博子は殺人を行っていないという趣旨の発言を中岡は、浦和地裁(現さいたま地裁)と東京高裁で計5回している。

 起訴の元になった供述が法廷で覆されたわけだが、当時この事実は一切報じられなかった。

 そもそも、なぜ共犯者の中岡は自供をしたのか。そして、「刺青から高城と分からないように、細かく刻まなくちゃ」などと語り、遺体を解体した風間は果たして殺人を犯していなかったのか。後編では、捜査過程や公判での謎を探っていく。

【後編を読む】「検事の取り計らいで妻と取調室セックス…平成最大の猟奇事件の捜査過程はなぜ不可解なのか

「刺青が分からないように刻まなきゃ」遺体をサイコロステーキに…平成最大の猟奇殺人、凄惨な実態

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