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「刺青が分からないように刻まなきゃ」遺体をサイコロステーキに…平成最大の猟奇殺人、凄惨な実態

2020/10/22

genre : ライフ, 読書, 社会

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犬の殺処分用の薬で殺害

 山上が佐谷田車庫に来た時にそこに居た、「アフリカケンネル」の名目上の役員である中岡洋介(仮名)が、買い物と給油をすませて帰ってくると、山上はダッジバンの座席で死んでいた。硝酸ストリキニーネという、犬の殺処分用の薬を栄養剤と偽って飲ませていたのだった。

 同じようになりたいかと関根に脅されて、中岡はミラージュに死体を乗せ、片品にある自身の自宅・通称「ポッポハウス」に運び、関根が遺体を解体した。その間、中岡は風間と合流し、中岡は山上のアウディを、風間は自身のクレフを運転して、アウディを八重洲の地下駐車場に入れ、隠している。

 第二の殺人事件は、この第一の山上殺害に端を発する。関根の古くからの友人である暴力団高田組組長代行の高城昌義が山上殺害に気づいて強請(ゆす)ってきたのだ。

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 熊谷の祭り・うちわ祭の最中の7月21日、関根、風間、中岡はカリーナバンに乗って、午後10時頃、高城宅に行った。中岡を車の中に残し、関根と風間が入って行ってしばらくすると、高城の付き人の小宮山亮が家から飛び出してきた。関根と風間が小宮山を車の助手席に乗せると、走行中に小宮山は苦しみ出し、フロントガラスに足を突っ張り死に至った。小宮山にも、硝酸ストリキニーネを飲ませていたのだった。

©iStock.com

 高城宅に戻ると、同じく硝酸ストリキニーネを飲まされた高城が大の字になって死亡していた。小宮山の遺体が載っているカリーナバンの荷台に高城の遺体も載せ、またもや片品のポッポハウスに向かった。

遺体はサイコロステーキほどになるまで、徹底的に解体

 ポッポハウスに着くと、浴室で遺体の解体を行ったのは、関根と風間。「生意気に刺青を入れて、刺青から高城と分からないように、細かく刻まなくちゃ」、局部については「気持ち悪いから、あんたやってよ」と風間は言い、包丁を振るいながら、中村美律子の「大阪情話」を口ずさんでいた。中岡は言いつけられて、包丁を研いだくらいしかしていないという。

 8月26日には、アフリカケンネルの従業員の母親が殺害される第三の事件が起き、遺体は中岡の運転でポッポハウスに運ばれ、関根が解体した。

 3つの殺人事件では共通して、サイコロステーキほどになるまで、遺体は徹底的に解体された。骨は庭のドラム缶で灰になるまで焼かれ山林に撒かれ、肉は渓流に流され、自然に還るに任せられた。死体をまるごと燃やしたこともあったようだが、それでは肉が焼ける臭いが漂うことになる。試行錯誤を重ねた上で確立された手法なのだ。この犯行様態を関根は「ボディーを透明にする」と形容している。