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2020/10/23

genre : ライフ, , 歴史, 社会

かつての人気観光地だった痕跡が

 永遠に動かないバスを横目に、シャッター街となった目抜き通りを歩く。看板が出ていて、営業してそうな喫茶店などもあるのだが、今日のところはまったく人の気配がない。窓から店内を覗くと、テーブルや食器などが普通に並んでいる。生活感があるだけに不気味だ。

喫茶店

 看板が出ているので、休日や観光シーズンには営業しているのかもしれない。

 商店街を歩いていると、古い建物も、新しい建物もすべて閉まっているので、感覚がおかしくなってくる。目が慣れてくると、建物と建物の間や空き地などに、かつての人気観光地だった痕跡が見え隠れしてくる。

「貸自転車バイク」の看板

 ちょっと懐かしいシルエットのスクーターが味わい深い。

「レンタサイクル」

 首がどうかしてるが、かつては微笑ましさを醸し出していたのだろう。

 脇道の下に目をやると、個性的な看板が目に入った。その独特な書体のインパクトから、いまや有名スポットとなっている「星の王子さま」跡地だ。

 おみやげ用のぬいぐるみを生産・販売する店だったようだが、現在はそんなファンシーなムードはまったくなく、建物全体から妖気が立ち上っている。

「星の王子さま」

「おみやげは…ぬいぐるみが一番ヨ!」。眺めてると思わず口に出して音読したくなる絶妙な文体。

「星の王子さま」外観

 建物の前には、タイヤのつぶれたTOYOTAマークⅡが停まっていた。

「星の王子さま」に近づいてみると、「貸物件」の看板が。建物のまわりにはドアやサッシが大量に立てかけてあり、家の中を覗くと雑多な工具などが散乱していた。ぬいぐるみ工場のあと、様々な家主に使用されてきたのだろう。

ドア

 なぜか大量のドアや扉だけ立てかけられている。「モンスターズ・インク」のオマージュかもしれない。