昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

BB弾がなぜか散乱、「頭上注意」の看板が…80年代に人気を博した“メルヘン村”清里の今

2020/10/23

genre : ライフ, , 歴史, 社会

 どこを見渡しても、誰もいない。まるで撮影の終わった映画のオープンセットのように、町並みだけが佇んでいる。

 それまでのどかな高原地帯だった「清里」は、80年代後半にファンシーな雰囲気の漂う避暑地として人気を集め、若い女性たちが集うようになった。しかし、ブームが去ると町は徐々に衰退し、再開発されることもなく打ち捨てられてしまった。それがいまや写真映えのする「メルヘン廃墟」として評価され、一部の好事家たちを呼び寄せているという。(取材・文=素鞠清志郎/清談社)

(全2回の第2回/1回目から読む)

清里メルヘン廃墟群のランドマーク「MILK POT」

 まるで壁のような立ちはだかる「隆磯亭」を過ぎると姿をあらわしてくるのが、いまや清里メルヘン廃墟群のランドマークともいえる「MILK POT」だ。

MILK POT写真

 その名の通り、ポット型の建物で、鳥山明の漫画『Dr.スランプ』あたりにインスパイアされたと思われるデザイン。当時もインパクトがあっただろうが、現在の佇まいもなかなかショッキングだ。

MILK POT寄り

 当時はメルヘン感が溢れていたと思われるが、いまでは出土した土器のような粗肌をさらしている。

 特筆すべきは、店内がほぼそのまま残されていること。中を覗くと、売れ残った土産物や、くたびれたクマのぬいぐるみなどが打ち捨てられており、ダークなメルヘン感を醸し出している。

 
 
 

 クマが虚空をみつめる。カウンターにあるCDラジカセもたまらない。