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「日本は政治的“ピグミー”だ」ロッキード事件の裏側で田中角栄への侮蔑を重ねたリチャード・ニクソン

『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』より #1

2020/10/30
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侮蔑を受け止めた田中角栄

 田中はニクソンから「ピグミー」と侮辱されても、反発することなく、戦後米国から受けた支援に感謝し、安保条約のおかげで日本は守られていると認めた。そして、日米安保があったから日中国交正常化ができた、とも主張した。論理的には、のれんに腕押しのような反論だ。

 では、「五年後の世界」はどうなるか。ニクソンは「日米安保条約が廃棄され、日本で支持されなくなったら、多くのアメリカ人は喜んで出て行く。韓国から米軍も撤退する」と言った。言うことを聞かなければ米軍を撤退させる、というカードをここで見せた*13。

*13 *12同

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©iStock.com

 それにしても、日本と日本人に対して、これほど侮辱的な言葉を使った米大統領がいただろうか。日本側の会談記録はどうなっているのか。外務省に情報公開請求して入手した*14。

*14 外務省情報公開第00014令和2年4月2日、開示請求番号2019-00903

 外務省の会談記録では、ピグミーを訳さず「政治的な小人(political pygmy)」とカッコ付き、あるいはカッコなしで英文のまま記していた。「田中総理・ニクソン大統領会談の模様」と題する1973年8月23日付9ページの文書は、こうした刺激的な発言を省いていた。この会談が外交問題化しないよう配慮した形だ。「ピグミー」は、『リーダーズ英和辞典』(研究社)によると、「アフリカ赤道森林地帯の矮小黒人種」とある。それが転じて「こびと」「知力の劣った人」という意味もあるとしていて、差別的に使用され得る言葉であることが分かる。

ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス

春名 幹男

KADOKAWA

2020年10月30日 発売

「日本は政治的“ピグミー”だ」ロッキード事件の裏側で田中角栄への侮蔑を重ねたリチャード・ニクソン

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