ブランド総合研究所という民間の調査会社を名乗る団体が、計測方法がイマイチ不明な「都道府県・魅力度ランキング」なるものを発表し、その最下位が栃木県になったということで東京スポーツにて大々的に報道され、県民的アイドルのU字工事が怒りのコメントを出しておりました。

温厚なU字工事が激怒 栃木県 魅力度ランク最下位転落の衝撃
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/2311686/

U字工事のTwitterより

調査方法がそもそもインチキなんじゃないか

 U字工事がもっともなのは、「47都道府県と国内1000の市区町村を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全84項目からなる『地域ブランド調査2020』によるもので、今年で実施は15回目。全国の消費者3万1734人から有効回答を得た。調査期間は、2020年6月24日~7月20日」というブランド総合研究所の調査方法がそもそもインチキなんじゃないかということで、非常に気になります。

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 栃木県知事の福田富一さんも直接調査会社に「なんやこれ」と質問しにいくようですが、サンプリング調査用の計測数はともかくランキング算出のためのロジックがおかしいだろうというのは誰が見てもごもっともです。こんなもので「お前の県のブランド力は最下位だバーカ」とメディアで煽られたら怒るのも当然です。 

「倍返しだ」福田知事が直談判 栃木県魅力度最下位|社会,県内主要|下野新聞「SOON」ニュース|下野新聞 SOON(スーン)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/374993

 もちろん、身の回りの栃木県民からすると「最下位であることに怒っている」というよりは「いままでさんざん最下位と馬鹿にしてきた茨城県よりも突然下の順位になってしまい戸惑った」とか「群馬県が言われもなく上位にいて、ただただ不愉快」という反応であったので、お前らもっと個人的に志を高く持てよと思う気持ちが去来するのですが。

 この手の調査の仕組みで言うならば、人が多くて認知度が高いほど、会津と長州の関係でもない限りブランド上位に来るのは当たり前のことです。栃木に縁もゆかりもない九州や四国在住の消費者も調査に参加する以上、バイアスぐらいは処理しないとブランドなんて測定できるわけがねえだろという話ですね。

日光東照宮 ©iStock.com

 例えば、日本全国500万人の女性に「あなたの人生にとって非常に大事なプロレス団体は」という調査票を送り、3万1734人から回答があったとしても、それはプロレスに関心のある女性からの回答であって、プロレスに関心のない人たちからすればどうでもいい話です。ここでDDTプロレスリングが最下位だったとしても、それはコアなDDTプロレスリングのファンが不在なのではなく認知度拡大の余地があるというだけの話です。

 そして、好きなプロレスラーはと訊かれたらせいぜい知っているプロレスラーはアントニオ猪木やジャイアント馬場だったとき、上位はこれらのレスラーが独占することになるわけですよ。本来のブランド力で言えば充分強いはずの男色ディーノが上位にランクインするはずもないのです。これ、こういう質問の仕方で調査をしてしまったのであれば、ブランド力という名のただの知名度投票にならざるを得ないでしょう。