94年に事務所から独立したことによって、ジャニーズタレントと共演NGとなり、長女誕生会見での「俺はビッグ」発言の余波などもあって低迷期も経験したが、地道に芸能活動を続けたことで、近年は再びメディアに登場する機会も増えている。
今年は新曲のリリースが8月に延期されたものの、前後して『ZOOM de でいと』なるイベントを開催。11月にはオンラインライブの予定もある。また、他のアーティストがライブを見送る中、本数を減らしながらもツアーを継続中だ。
「9月に越谷で開かれたライブでは客を会場の50%に減らしたうえで消毒、検温、マスク着用、MC中の換気、客の声出しも禁止と、できる限りの対応はしていました。おそらく赤字でしょうが、大きな事務所の後ろ盾がないだけに、それでもやらないよりはマシということでしょう。12月に大阪と東京で予定されているクリスマスディナーショーも、何とか開催する予定のようです」
苦労している田原とは対照的なのが80年12月に『スニーカーぶる〜す』でデビューした近藤真彦。近年は芸能活動よりレース活動の方が有名で、現在のレギュラーはラジオ番組がある程度。夏の記念ツアーだけでなく、出演予定だった『徹子の部屋』45周年を記念した武道館コンサートも中止になっているが、そのポジションは安泰だ。
「もともと中森明菜との恋愛スキャンダルでイメージが悪化しており、SMAPの解散騒動で後輩グループのファンから風当たりが強まった。それでも、ジャニーズの土台を作った功労者として事務所内での地位は約束されていますから、今後も芸能活動には影響ないでしょう」(渡邉氏)
再評価でレトロブームも
現在も一線で活動を続けている佐野元春、鈴木雅之(シャネルズ)、山下久美子や、解散してしまったもののハウンドドッグ、横浜銀蝿(現在は再結成中)といったバンドがデビューしたのもこの年だ。彼らも同期のアイドルと同様に記念アルバムなどが発売されているが、やはりライブは延期、もしくは軒並み中止となっている。
もっともコロナ禍は悪いことばかりではなかったようで、ここにきて新しい可能性も生まれているという。直撃世代がノスタルジーで楽しむだけでなく、当時はまだ生まれていなかった世代からも、新鮮なコンテンツとして注目されているのだ。
「コロナを機に増えたテレビの懐メロ企画や動画サイトなどを通じて、80年代のアイドルやミュージシャンを知った若者たちの間で『レトロブーム』が盛り上がっています。これは日本に限らず、たとえば韓国の10代の間でも当時の松田聖子の映像がYouTubeなどで拡散して人気になっているそうです」(渡邉氏)
40年の時間を経て、芸能界や音楽業界そのものは大きく変化した。それでも一つの時代を彩ったアイドルたちの魅力は今なお色褪せてはいないようだ。