先月、高視聴率のうちに最終回を迎えたドラマ『半沢直樹』第2シリーズ。シリーズの途中、コロナ禍の影響により第7話の撮影が間に合わず、放送が1週延期され、代わって主演の堺雅人ら出演陣がトークを繰り広げる生特番が組まれた。

©️時事通信社

ミッチーの演じる“妖精っぽい”渡真利

 その番組中、ドラマで渡真利(とまり)忍という人物を演じる及川光博が、「渡真利はじつは半沢にしか見えない妖精なのではないか」というネットでの噂を紹介していた。言われてみると、大学からの同期である主人公・半沢のため、危険も顧みず銀行内で情報収集に動き回る渡真利は、たしかにどこか非現実的な存在で妖精っぽい。それに濃厚なキャラクターがひしめき合う『半沢』ワールドにあって、スマートでおしゃれな渡真利は、一服の清涼剤ともいうべき存在であった。

©️文藝春秋

 及川自身も、7年前の『半沢』の第1シリーズが終わった直後に、《悪役として過剰に演じる役でもなかったし、妻の花ちゃん(上戸彩)とは別の意味で半沢のパートナーでしたから、過剰な個性はむしろマイナスになる。うまく隙間を狙っていこう、と思っていました》と、渡真利の演技プランを明かしている(※1)。もっとも、それがかえって怪しまれたのか、周囲からは放送中ずっと「最後、裏切るんでしょ?」と言われ続けていたという。

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ミュージシャンとしての及川光博

人気シリーズ『相棒』では2代目相棒の神戸尊を演じた

 きょう10月24日に51歳の誕生日を迎えた及川は、『半沢』のほか『白い巨塔』『相棒』など数々の人気ドラマに出演し、俳優としての活躍が目立つとはいえ、もともとはミュージシャンとして世に出て、現在も曲を出し続けている。今年は残念ながら中止になってしまったが、デビュー以来毎年、全国ツアーも開催してきた。

 いま振り返れば、及川の登場はなかなかに衝撃的だった。26歳だった1996年、シングル「モラリティー」でメジャーデビューし、1stアルバム『理想論』のジャケットではセミヌードを披露。自らを「ミッチー」「王子」、ファンのことを「ベイベー」と呼び、コンサートやテレビの音楽番組にはフリフリの衣装で出演した。肝心の曲でも、「“死んでもいい”と思えちゃうくらいのトキメキをボクに下さい」(1stシングルのカップリング曲「死んでもいい」)などと照れなく歌い上げてみせたりと、その突き抜けっぷりは注目されるに十分だった。