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未来の日本電産を担う“後継者”を育てられるか?

 現代風に言えば、既得権を崩すようなベンチャーを創業するものの志半ばで倒れる経営者は信長型、ベンチャーから会社を育て、M&Aで企業を大きくしたものの自身が会社からいなくなれば存続が危うくなる経営者は秀吉型、そして創業者がいなくなった後も永続する会社を作るのが家康型だ。

 筆者の独断と偏見により現在活躍する経営者を分類すれば、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、信長・秀吉の融合型だ。楽天の三木谷浩史会長兼社長も同じ分類に入るのではないだろうか。孫、三木谷両氏は、ベンチャー企業として成功し、 M&Aで会社を大きくした点が重なるが、両氏はまだ現役であり、将来のことは未知数だ。

 信長、秀吉、家康の3役を一人でこなした経営者で後世に名を遺した経営者は、筆者の知る限り松下幸之助氏しかいない。

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 一方、永守氏はいま、自分がいなくなっても日本電産が永続して発展する企業づくりについて腐心している。氏も今の時点では、信長・秀吉融合型の経営者だと筆者は考える。

 日本電産は今年4月から、社長に日産自動車のナンバー3で副COOだった実力者の関潤氏を迎えた。永守氏はこれまでも他社の役員経験者をヘッドハントしてきたが、今回の関氏は本格的な後継者候補と言える。

 関氏が後継者になれるか否かは、氏本人の頑張り次第ではあるが、永守氏にも育てる責任はある。それを果たしてこそ、「幸之助」を超えるような経営者になれるのだ。

出典:「文藝春秋」11月号

「文藝春秋」11月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載した「日本電産会長 自動車産業の『インテル』になる」では、永守氏に2時間近くにわたってインタビューした。日本電産のこれからの舵取りや人材育成、私財をなげうってまで取り組んでいる京都先端科学大学の狙い、同族経営にしなかった理由や息子2人の存在など多岐にわたって詳細に聞いている。

文藝春秋

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日本電産会長 自動車産業の「インテル」になる