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ジョージ秋山に八千草薫……昭和カルチャーにどっぷり浸かった二人が語る「追悼2020」

唐沢なをき×岩佐陽一対談

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唐沢 以前、『キカイダー』がリブート(編注:『キカイダー REBOOT』。2014年公開の特撮映画)されたときに思ったんですけど、キカイダーは頭の半分はメカがカチャカチャ動いてるんですよね。リブート版ではそこらへんを省略して、今どきのメカっぽく「ちょっとだけ見えてる」デザインになっていて「キャラへの理解が薄いなあ」と思いました。現実的でなくても良いから、細かいメカがぎっしり詰まってて欲しかったです。リメイクされる場合はぜひその辺りを重視して欲しい!

『キカイダー REBOOT』DVD(販売元:KADOKAWA/角川書店)

制作現場のこだわりが強い方々のおかげで、今のオタクがいる

岩佐 この間八千草薫さんが亡くなって、『ガス人間第1号』(’60年)を観直したんです。その流れで『透明人間』(’54年)や『美女と液体人間』(’58年)も観直したんですが、『電送人間』(’60年)が面白かったですね。

『ガス人間第1号』DVD(販売元:東宝)

唐沢 あのシリーズはだんだん映画として様になっていきますよね。『電送人間』は設定もサスペンスの見せ方も上手いし。

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岩佐 『電送人間』は走査線が走る、電波がブレる、とかの表現が面白いですよね。

唐沢 今は走査線も何もないですけど、リアルですよね。

岩佐 全身に走査線が入ってる人いたらビビりますよね。歩くモニター、みたいな。でも液晶ではない。

唐沢 『科学忍者隊ガッチャマン』(’72年)のゴッドフェニックスのモニターの走査線が、上から下にって動くのすごいですよね。タツノコプロは違うな、と思いました。この細かさだぞ! と。

岩佐 タツノコプロの妙なこだわりですよね。

唐沢 制作現場で、こだわる人がきっといたんですよね。細かいこだわりの破片が集まって、オタクができているんだと思います。令和の作り手にも、きっといるはずですが。(続く)

 

この後、対談は安彦良和先生の名作や、特撮番組の珍奇な怪人の話に……。
​対談の続きは電子書籍『令和にほえろ! 昭和トリビア集【文春e-Books】』をご購入の上、お楽しみください。

唐沢なをき(からさわ・なをき)

1961年北海道生まれ。ギャグ漫画家。1985年『無敵刑事(デカ)』でデビュー。 主な代表作に『電脳なをさん』『まんが極道』『俺とねこにゃん』『カスミ伝』『ヌイグルメン!』など。 2012年10月より、読売新聞夕刊にて4コママンガ『オフィス ケン太』を連載開始。

岩佐陽一(いわさ・よういち)

1967年東京都生まれ。フリーライター、編集者、プロデューサー。株式会社バッドテイスト代表取締役。懐かしもの系全般のライターとして活動する傍らテレビ番組や映画等を企画・プロデュース。著書に『70年代カルトTV図鑑』(文藝春秋)、監修に『ゲゲゲの鬼太郎 CHARACTER BOOK ねこ娘大全』『おジャ魔女どれみ OFFICIAL CHARACTER BOOK どれみ&おんぷ大全』他多数。企画・製作テレビドラマは『帰ってきた 行け! あひるお姉さん』(TeNY)など。

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