唐沢 以前、『キカイダー』がリブート(編注:『キカイダー REBOOT』。2014年公開の特撮映画)されたときに思ったんですけど、キカイダーは頭の半分はメカがカチャカチャ動いてるんですよね。リブート版ではそこらへんを省略して、今どきのメカっぽく「ちょっとだけ見えてる」デザインになっていて「キャラへの理解が薄いなあ」と思いました。現実的でなくても良いから、細かいメカがぎっしり詰まってて欲しかったです。リメイクされる場合はぜひその辺りを重視して欲しい!
制作現場のこだわりが強い方々のおかげで、今のオタクがいる
岩佐 この間八千草薫さんが亡くなって、『ガス人間第1号』(’60年)を観直したんです。その流れで『透明人間』(’54年)や『美女と液体人間』(’58年)も観直したんですが、『電送人間』(’60年)が面白かったですね。
唐沢 あのシリーズはだんだん映画として様になっていきますよね。『電送人間』は設定もサスペンスの見せ方も上手いし。
岩佐 『電送人間』は走査線が走る、電波がブレる、とかの表現が面白いですよね。
唐沢 今は走査線も何もないですけど、リアルですよね。
岩佐 全身に走査線が入ってる人いたらビビりますよね。歩くモニター、みたいな。でも液晶ではない。
唐沢 『科学忍者隊ガッチャマン』(’72年)のゴッドフェニックスのモニターの走査線が、上から下にって動くのすごいですよね。タツノコプロは違うな、と思いました。この細かさだぞ! と。
岩佐 タツノコプロの妙なこだわりですよね。
唐沢 制作現場で、こだわる人がきっといたんですよね。細かいこだわりの破片が集まって、オタクができているんだと思います。令和の作り手にも、きっといるはずですが。(続く)
この後、対談は安彦良和先生の名作や、特撮番組の珍奇な怪人の話に……。
対談の続きは電子書籍『令和にほえろ! 昭和トリビア集【文春e-Books】』をご購入の上、お楽しみください。
唐沢なをき(からさわ・なをき)
1961年北海道生まれ。ギャグ漫画家。1985年『無敵刑事(デカ)』でデビュー。 主な代表作に『電脳なをさん』『まんが極道』『俺とねこにゃん』『カスミ伝』『ヌイグルメン!』など。 2012年10月より、読売新聞夕刊にて4コママンガ『オフィス ケン太』を連載開始。
岩佐陽一(いわさ・よういち)
1967年東京都生まれ。フリーライター、編集者、プロデューサー。株式会社バッドテイスト代表取締役。懐かしもの系全般のライターとして活動する傍らテレビ番組や映画等を企画・プロデュース。著書に『70年代カルトTV図鑑』(文藝春秋)、監修に『ゲゲゲの鬼太郎 CHARACTER BOOK ねこ娘大全』『おジャ魔女どれみ OFFICIAL CHARACTER BOOK どれみ&おんぷ大全』他多数。企画・製作テレビドラマは『帰ってきた 行け! あひるお姉さん』(TeNY)など。