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「あと4つ新しい球団が誕生してほしい」

 FA制度が成立した背景に迫っていくと、当時から現在まで続く、日本球界の「構造問題」にぶち当たる。セ・リーグとパ・リーグを統括するNPBが、プロ野球全体の発展に向けてまるで機能していないのだ。MLBのようにリーグ全体の「成長」という視点があれば、もっとさまざまな手を打っていけたはずである。

 例えば、近年話題に上がっているエクスパンション(球団拡張)だ。

 2020年1月、ソフトバンク球団の会長を務める王貞治(おうさだはる)が福岡のテレビ番組で「野球界のためには、球団数は現在の12よりも16が望ましい。あと4つ新しい球団が誕生してほしい」と発言して大きな注目を集めた。

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 過去、エクスパンションを求める動きは外部から何度も起こっている。2014年には自民党の政調会長代理だった塩崎恭久(しおざきやすひさ)が政府の成長戦略として提言をおこなった。ZOZO(ゾゾ)の前社長、前澤友作(まえざわゆうさく)が2018年に「プロ野球球団を持ちたいです」と球界参入の意思をツイッターで表明した際、他にも模索した企業があったと球界関係者は話している。2019年には将来的なNPB加盟をめざして琉球ブルーオーシャンズというプロ球団が沖縄に誕生した。2020年4月、古田敦也(ふるたあつや)(元ヤクルト)は4年前から4つの自治体と16球団構想を協議していることをテレビインタビューで明かしている。

古田敦也 ©️文藝春秋

2軍で燻ったままの選手へのチャンス

 エクスパンションを成功させる条件の一つとして、選手の流動化を活発にしていく必要性が挙げられる。OBなどからは「球団数を増やせば、プロ野球のレベルが落ちる」と反対する声もあるが、持てる力を発揮できずにベンチや二軍で燻(くすぶ)ったままの選手は少なくない。例えば2019年オフ、ソフトバンクで控えメンバーだった福田秀平(ふくだしゅうへい)はFA宣言すると、年俸3600万円から4年総額4億8000万円プラス出来高(いずれも推定)という好条件で千葉ロッテマリーンズに迎え入れられた。福田のように環境を変えることで、今よりもっと輝ける選手がたくさんいるはずだ。