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異業種の友達の苦労話を聞く気分
もちろん芸能人のプライベートの話を聞くことを否定したいわけではないけれど、同時に、『あちこちオードリー』のように、おそらく仕事熱心な若林正恭さんと春日俊彰さんが、「アンケートをどれくらい熱心に書くか」「ものすごくあこがれている先輩の仕事でどうやって緊張をいなすか」「自分のキャラ設定をどういうふうに作ったらこの先もやっていけるのか」といった質問に答えたり質問し返したりするのを見ると、ああやっぱり仕事の話ってみんな熱心だから面白いなあ、と思えたりする。
ふだんテレビを熱心に見ていない人間ですら、異業種の友達の苦労話を居酒屋で聞いた気分になる。
密着取材ほど意識の高い状態でもなく、従来のトーク番組ほどプライベートに偏らず。『あちこちオードリー』は、仕事の苦労話をわいわいしているのを見ることができるからこそ、そこに出ている芸人さんやタレントのことを、より好きになることができる。
プライベートのことを発信しようと思えば、SNSでもブログでもYouTubeでもいくらでも自分で発信できる時代だ。だからこそ、仕事のことでも、趣味のことでも、なんでもいい、その人が熱心に語れることを、知りたい、と思ってしまう。
『あちこちオードリー』を見ると、その人が人間として面白い、「こういう人だったんだ~」と笑えてしまう面が切り取られている。だからこそ、来週も見よう、と思ってしまう人が多いのだと思う。