創価学会を一代で巨大組織に育て上げた池田大作名誉会長。そのカリスマ性の源泉は末端の会員とも直接触れ合う「現場力」にあった。しかし、自身の「学歴コンプレックス」から側近をエリートで固めたことが、後継者不在の構造を生んだという。「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」の発売に合わせて放送された番組「+RONTEN 2026」で、雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏がその功罪を分析する。(全2回の2回目/はじめから読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2025年11月13日配信)
池田大作のすごさは「現場力」
池田氏のカリスマ性の源泉について、小川氏は「現場力」だったと分析する。「(宗教家のイメージで語られがちな)超能力があるとか、よく分からない指令が来るとかじゃなくって、本当に末端の人にも会ったことがあるというところ」だった。
小川氏によれば、組織の末端の会員でさえ「実際に手を握ってくれた」「お年寄りだと気遣って背負ってくれた」など、池田氏と直接触れ合った経験を持つ人が多かったという。
選挙のたびに全国を飛び回り、幹部たちにも「先生は奥の院にいるわけではなく常に現場に出てくるから、手が抜けない」という緊張感を与えていた。
日蓮正宗との対立と激しい内紛
しかし1990年代に入ると、池田氏の人生最後の巨大な敵となる日蓮正宗との対立が激化し、破門される事態となった。「かつての身内と戦うことになる」状況で、池田氏の側近や右腕だった人材が次々と離れていった。
小川氏は「竹入義勝さんや矢野絢也さんといった大幹部が『仏敵』として排斥され、彼らが暴露本などで反撃する事態になった」と、当時の激しい内紛を振り返る。

