「俺たちは、大したことある」
小林 権力がさせてくる無意味なことって、すごく身近にもあって、それをヨシキさんが指摘しているところがございまして。
「行進や組体操、朝礼といった、無意味な動作を権力が強いるのはそのためです。しかし、そのシステムに飲み込まれてしまうと、支配者のみならず、服従している方も無意味なことをやり遂げるということに達成感や、快感を覚えてしまうようになる」(『シネマストリップ 戦慄のディストピア編』高橋ヨシキ、スモール出版より)
淳 要は、支配っていうのはすごい身近にあって。学生の頃は、ブルマを穿かされ続けてた女子を見て、なんで抗わないんだって思ってた。そこがもう支配の始まりだったんだな。だから尾崎(豊)が言ってたんだな……。学校を卒業することを支配からの卒業って歌ってて、当時の若者にバンバン響くわけですよ。
小林 自分なんて大したことないって思っちゃうから、支配されてる環境って苦しいじゃないですか。ヨシキさんの本は、“苦しくて寄りかかるものがない、そういう時のために、ディストピア映画という酷い社会を切り裂く作品はある。ディストピアの世界でも、みんなの個人の尊厳を守るために戦ったんだ。俺はそう思うよ”っていう優しい語りかけの本なんですよ
淳 へー、哲学書だな。
小林 俺たちは大したことある!!!! って、それだけを伝えようとする作品が本当に好きなんですよ、俺は。それは、自分が撮りたい作品でもあります。
淳 「俺たちは、大したことある」ね……。
小林 ある。俺たちは。大したことあるんです、絶対。
淳 さっきまで、咀嚼して気持ちわりーって言ってたのに。監督は振れ幅がすごいんですよ(笑)。
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