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「2015年に行われた国交省の報告では、人口が3万人いれば80%の確率でひとつの病院経営が成り立つという結果が出されました。日本の人口は1億2000万人ですから単純計算すれば4000になる。つまり、現段階ですでに多すぎるともいえるのです。日本の高齢者は、団塊の世代が75歳以上になる2025年まで急増し、2040年にはピークを迎えます。地域ごとの需要に合った適切な供給体制に再編すればいまの半分で十分にやっていけるはずです」

政府主導の「コントロールタワー」を作れ

 ただ地域の医療需要を無視した形で再編すれば、患者へ適切な医療が供給できないなど混乱も予想される。

「病院再編の障壁となるのは地方自治体ごとの縦割り。例えば、隣町に一つずつある病院を統合しようとすると、どちらの首長も『おらが町の病院を守る』と譲りません。調停役がいないといけませんが、都道府県の知事は双方の顔を立てないといけないから、なかなか解決できないのです」

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 適切な形で再編を行うためには政府主導の「コントロールタワー」が不可欠だという。

「厚労省だけに任せていてはうまくいきません。そもそも、民間の医療法人を管轄するのは厚労省ですが、大学病院は文科省、自治体病院は総務省など、縦割りで管理されています。コントロールタワーは『地方創生庁』と呼ぶべきなのか、『病院庁』とするのがいいのかわかりませんが、菅首相には厚労省や国交省、総務省などあらゆる省庁の力を集めた横断的な組織をぜひ作って欲しい。痛みを伴わない改革はありえません。政府にもその痛みを引き受けてもらいたいのです」

出典:「文藝春秋」11月号

「文藝春秋」11月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載した相澤会長のインタビュー記事「受け入れ病院の8割は大赤字だ」では、コロナ禍以降、病院を苦しめている患者減少の実態のほかに、診療報酬や病床の運営体制のあり方などに関する具体的な改革策についても語っている。

文藝春秋

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