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祝V2! 原巨人のベストゲームは? 日本シリーズはどうなる?――第4回勝手に巨人軍論

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/11/03

 生みの苦しみを乗り越えて、ついに原巨人が2連覇を達成。文春野球巨人軍監督の伊賀大介を中心に気鋭の巨人ウォッチャーたちが令和の巨人軍を語り尽くす座談会ファイナルは、「今季ベストゲーム」「俺的MVP」「リベンジなるか、日本シリーズ展望」の3本立てでお送りします。

【参加者】
I:東京都出身40代。伊賀大介文春野球巨人監督。「結局胴上げはG+で観戦。こうなりゃ京セラ行くしかねぇべ!!」
C:東京都出身30代。慎重。乙女。「湯浅クン、待ってたよ!」
H:埼玉県出身30代。新日派。文春野球と大型補強が大好き。「陽岱鋼の完全復活をまだ諦めていない」
M:秋田県出身50代。中畑清信者。「田原戦力外。会社組織の一員として、いろいろ考えさせられます」

I いやー!! 優勝できて良かったー!

H 優勝目前で足踏みしてもどかしかったことで、逆に感情移入できてよかった。独走して、あまりにもうまく行きすぎると日本シリーズが逆に怖いなというのがありましたよ。

I 選手もこれで締めなおさないと、という感じにはなったでしょうね。

H 優勝の瞬間は球場にいたんですが、状況がわかってない観客もいた。2002年の清原の「空気読めや」(史上初の優勝決定日にサヨナラ負け)以来のズンドコ優勝だけど、それはそれで思い出に残ってよかったんじゃないか。

I 守備交代で優勝決定ってあんまりないですよね。

M 試合終わってないのに手を振っちゃう辰徳の振る舞いは「どうなの?」ってネットでは議論にもなってたけど、やっぱりそれぐらいうれしい優勝だったんだなと。抑えきれなかったんだよ。

I まあいいじゃないのっていうね。去年ほどではなかったけど、今年も原監督の目が潤んでたね。感慨深かったんでしょうね。

H 去年優勝を決めて、ひさしぶりだな、と阿部の肩を抱いていたのを考えると1年というのは長いなと。いろいろあった濃い1年だった。

C 胴上げ投手と言っていいのかわからないけど、結果的にビエイラはおいしかったよね。

H ビエイラのガッツポーズは巨人の歴史に永久に残るでしょうね。

開幕? 増田登板? それぞれのベストゲーム

I あれはいい画でした。ではそれぞれの今季のベストゲームから行きましょうか。

C 今季巨人の最初のガッツポーズは開幕戦の湯浅のバントなんですよ。菅野の代打で出てバントを決めて、吉川の逆転弾を呼び込んだ。湯浅君のガッツポーズですべてが始まってビエイラのガッツポーズで終わったシーズン。だからベストゲームは開幕戦ですね。

H おれもベストゲームは開幕と思っていた。尚輝が無人のライトスタンドに放り込んでなければ菅野は負けていたわけで、13連勝も無敗神話もなかった。あの一打からすべてが始まった。あの開幕戦は、阪神の西にホームランを打たれたりして、負けたらひきずる敗北になっていたでしょう。コロナでそもそも野球ができるのかなというのがあった中で、プロ野球を見続ける限りずっと忘れない開幕戦になったと思う。

開幕戦でホームランを打った吉川尚輝

M 僕はベタだけど増田大輝が登板した阪神戦(8月6日甲子園)。0-11という完全なワンサイドの終盤。言ってしまえばよくある日常をアナーキーに打破した原辰徳の魔術。育成上がりの韋駄天で名をはせてきたとはいえ、あくまで巨人ファンというサークル内での人気者だった増田を、一気に一般層にまで行き届かせた。その後も広岡さんとか伊原さんとか堀内さんとかの名だたるお歴々からの批判を原監督が楽しんでるみたいな雰囲気もあって、キラー辰徳の魔術に野球界が全部持っていかれた事件でした。

H そう考えると辰徳の猪木化が始まっている。辰徳なら何をやっても許されるのかというね。ほかの監督とは違うステージに入ったとも言える。

M それこそ落合博満クラスの対抗軸がないと制することができないぐらい狂暴化、凶悪化してるよ!

I ベストと言いつつ監督権限で二つ選んでいいすか?(笑)。

まずは戸郷がマツダで勝った7月15日の広島戦。高卒2年目で開幕3連勝という、桑田真澄を引き合いに出せるようなピッチングで、これは!!と皆が思った筈。結果、マツダ3タテという久しぶり過ぎる景色が見えた試合。あとは7月19日の横浜戦。セカンドランナー増田が丸のセカンドゴロで同点ホームインという劇的な神走塁を見せた試合。内野安打なのに丸が吠えてたし、最後は岡本が打って決めたという、泥臭さと盤石が合体したあのゲームがベストなのかな。で、皆の個人的MVPは?

王道から伏兵まで…おれたちのMVP

M 僕は今年のMVPは松原。仙台育英時代は甲子園のスタンドで応援していて、明星大という無名の大学で首都リーグ2部でやっていて、プロ入りも育成5位。そんな選手がスタメンの2番ではつらつとしたプレーを見せているというは巨人の歴史の中でもすごい出来事だと思う。こんな選手が出てくる土壌は何かと考えると、去年の今頃、美馬と鈴木大地を逃したこと。もう育てるしかねーなとチームが腹をくくった。鈴木と美馬に振られたときに「巨人ブランドは終わりだ」とアンチは喝さいを上げたと思う。でもその結果、一皮むけた魅力的な巨人軍ができた。その象徴が松原だったんじゃないか。

C ホトトギスで言うなら、FAで来ないなら育てて見せようホトトギス。

M ホトトギス理論で言うとそうだね(笑)。岩隈はついに泣かなかったけどね……。

C 僕は菅野。現実的に考えて巨人ラストイヤーの可能性も高いし、ここは順当に菅野でいいんじゃないか。

H 俺は大城。冷静に大城の打撃成績を見てほしいんですが、近年の小林の成績に慣れていると奇跡的ですよ! 大城が7、8番にいることで全然打線の厚みが違う。ほぼ正捕手として独走優勝をやり切ったことで、大城小林論争は終わり、来季以降は大城岸田の争いが始まるかなと思う。慎之助の後、小林炭谷大城でがんばっていたのが次の段階にいったかな、と。

I 文春野球監督的には「オレの尚輝」なんだけど(笑)、よくよく考えると中盤の投手になってくる。中川、大江、高梨。いや、鍵谷も含めて中継ぎ陣がMVPかな。

M コロナ禍のシーズンで、過密日程ならではのしんどさを背負って結果を出した中継ぎ陣だから、異議なしですよ。巨人はトレードで損してきたという思いがあるけど、高梨はようやくと言っていい会心のトレードでしたね。

I 加藤初以来ですかね。いや、デーブ忘れてた!!(笑)