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混戦のパ・リーグCS争い 西武日ハム3連戦で思った「野球すげぇ」

文春野球コラム ペナントレース2020

 日程表を見て11月2、3、4日の西武戦(メットライフドーム)を楽しみにしていたのだ。日本シリーズならともかく、11月に平場のリーグ公式戦やるなんて生涯二度とないんじゃないかと思う。今年はコロナ禍に振り回されっぱなしだったが、野球の神様が最後の最後、こんな乙な3連戦を用意してくれた。たぶん西武もうちもCSとは無縁だろうし、のんびり野球を楽しみたいなぁ……。

 そうはならなかったのだ!

 快進撃を続けていたロッテがクラスター発生もあって急降下、まずここでソフトバンクがギアを変えてラストスパートに入り、しっかり優勝を手にする。ロッテは優勝の目もあったのだが、完全に歯車が狂ってしまう。そこへ猛追をかけたのが西武だった。最大9ゲーム差あったものを詰めた。何とCS出場権争いのマッチレースだ。西武は例年、シーズン終盤に強い。残念ながらのんびりしてるのはうちだけなのだった。

第1戦に先発した生田目翼

「後ろのしっかりしたチーム」に変貌していた辻ライオンズ

 しかし、考えられない追い上げである。僕は10月19日、文化放送『岩本勉のまいどスポーツ』にゲスト出演したのだが、そのテーマが「今季不振の日ハム&西武、今夜は大いに愚痴ろう!」だった。テーマはライオンズびいきの文化放送が用意したものだ。つまり、10月下旬、文化放送はライオンズがCS争いに加わるのを全く予想していなかったことになる。今から思えば赤面ものだが、ガンちゃんと僕は(日ハムだけでなく)西武不振の要因を番組中、語っていた。

 ※数日後、『プロ野球ニュース』(フジテレビONE)のなかでガンちゃんはこの件を謝ったそうだ。まさに解説者泣かせ。それくらい想像を絶する10月末のパ・リーグだった。

 ちなみに恥かきついでに僕の2020シーズンライオンズの印象を記しておこう。文化放送『まいどスポーツ』のなかで、僕はこんな話をした。文春野球の読者には、今季開幕戦コラム(『おかえり僕の野球、僕のパ・リーグ……ファイターズ開幕戦に見たリアル』)でちらっとお目にかけたテーマなのだ。まさかここまで重症化し、引っぱるようなテーマになるとは……。

「山賊打線」幻影論。

 開幕戦の時点ではそれはちょっとしたネタだった。豪打「山賊打線」を警戒して挑んだら予想に反して、打のほうでなくニールの好投が光るゲームだった、というニュアンス。その後、西武打線が絶不調に苦しむことになるとは思ってもいない。けれど、筆の勢いで「(開幕戦に関しては)山賊打線は幻影だった」と書いた。当方は幻影に怯え、幻影に惑わされていたのだ。

『まいどスポーツ』で僕が指摘した今季ライオンズ不振の要因もまさにそこだった。「山賊打線」はそれに怯える相手チームだけでなく、ライオンズにとっても幻影だった。連覇してるチームはついつい自らの成功体験に縛られてしまう。投手が多少打たれたって、もっと打って勝てばいい。秋山は抜けたけど、秋山の分を補強すればそう大きなマイナスにならない。ヘコミは元に戻せる。大丈夫、こっちは「山賊打線」だ。

 僕は打線がうまく機能しないとわかった時点で、打のライオンズとは別のスタイルに切り替えてもよかったんじゃないかと言った。例えばバントで送ったり、機動力で相手をかき回す野球。なかなかそういう判断は難しいものだ。ヘコミが早く戻らないかと、主砲の復調を待ってしまう。だけど、僕はライオンズには別のスタイルで勝つポテンシャルがあると思っていた。

 これ、けっこういいセン行ってたんじゃないだろうか。自分としてはそこそこ芯食ったと思うんだけど、残念ながらホントの意味では何も見えてなかった。ライオンズはまさにそのスタイルチェンジを成し遂げつつあった。先行逃げ切りの野球だ。辻ライオンズは平良海馬、宮川哲、小川龍也、森脇亮介、ギャレットと中継ぎを整備し、抑えの増田達至につなぐ「後ろのしっかりしたチーム」に変貌していたのだ。中継ぎであんなに苦労したチームがまさかのモデルチェンジ。

 話を11月2、3、4日の3連戦に移そう。ライオンズとしてはレギュラーシーズン最後の本拠地シリーズ。僕は第1戦、第2戦のチケットを入手していた。これも文化放送がらみだ。第1戦は放送作家の近澤浩和さん(文春ファイターズで執筆)、第2戦は文化放送の関係者とご一緒した。先に結果を言ってしまうと、ライオンズはこの3連戦で順位を「3位」「同率2位」「単独2位」と毎日上げていった。ファイターズは3連敗だ。義理人情をいえばコロナでつらい目に遭ったロッテに加勢したいのだが、まったくお役に立てなかった。

第1戦は雨のナイター。11月にフツーにプロ野球が見られるなんて大いなるヨロコビだが、寒さも大いなるものだった。 ©えのきどいちろう

 まぁ、(認めたくないが)3連戦にかける意気込みがハナから違ったともいえる。ライオンズは榎田、高橋光成、ニールと主戦級、うちは生田目、西村、吉田輝星とチャレンジ枠の3人を先発に立てた。まぁ、榎田は今季5試合目の登板だけど、7回1死までノーヒットノーランの出来だった。作家の近澤さんと「榎戸は榎田のノーヒッターを見せられるのかな」「それって榎戸史上最大の恥辱では?」などと話していた。

 ※以前、1月の自主トレ期間、知人から「西武の十亀とキャッチボールしたんですか? 本人がラジオで言ってましたよ」とLINEで問い合わせがあった。それはどう考えても榎田に決まっている。おかしいだろう、十亀がライターとキャッチボールするなんて。

駅前の看板に榎田投手発見! ナイスピッチングでした。榎戸としてもご活躍をお祈りしてます。 ©えのきどいちろう