幸いというべきか、警視庁は防犯カメラなどから逃走車両を割り出し、約5時間後に神奈川県内で強盗団の少年3人の身柄を確保。翌日、強盗容疑で逮捕した。3人は高校生を含む千葉県の17~19歳の少年だ。ただ、車の中から見つかった現金は400万円で、200万円はどこかにすでに消えていた。
捜査関係者は「グループに抜かれたんだろう」と類推する。最近頻発しつつある強盗はすべて徹底した分業制だからだ。
分業を徹底 振り込め詐欺から「業態転換」
捜査関係者によると、従来の強盗と、ここ数年の強盗の決定的な違いは、強盗団が徹底的に分業制を敷き、運転役、強盗役だけでなく情報収集、現金の運搬など細かく分かれている点だ。奪われた現金は、わずかばかりを実行犯に遺してその他の担当のところに分散されるという。
アポイントの電話を入れて在宅を確認した上で強盗するアポ電強盗などはその典型。こうしたアポ電強盗には振り込め詐欺グループが関わっているという。取り締まりが厳しくなり、手っ取り早い強盗の手口に変え始めたグループがいるのだ。
電話と口座送金でやり取りするヤミ金から派生したとされる振り込め詐欺の更なる変質ともいえる。捜査関係者は「いつかこうなると危惧していたが、それが当たってしまった」と話す。
ただ、アポ電強盗の場合、必ずしも実行犯は被害者の資産までを把握しているわけではない。
今回、思慮分別のなさそうな少年らが、どうやって里美さんの資産情報を仕入れ、自宅の住所どころか部屋番号までを知っていたのか。
電話帳を繰れば誰の住所でもすぐにわかった昭和の時代ならいざ知らず、これだけ個人情報の保護が声高に叫ばれ、小学校の名簿にすら住所や電話番号が載らなくなっているというのに。
「そんなに難しいことではない」というのは、暴力団関係者だ。