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伊藤健太郎はなぜひき逃げ現場から逃げたのか?「彼は『快感原則』に支配されたまま大人に」《精神科医が分析》

伊藤健太郎はなぜひき逃げ現場から逃げたのか?「彼は『快感原則』に支配されたまま大人に」《精神科医が分析》

2020/11/03
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他のせいにせず、自分の責任を自覚すべき

 今回の事件は伊藤さんが変わるための良い薬だと思います。伊藤さんは釈放の際、集まった報道陣の前で深々と頭を下げ、『一生かけて償う』と言いました。その言葉が嘘にならないように、被害者の方と真摯に向き合い、誠意ある対応をまずすべきです。

「一生かけて償う」頭を下げる伊藤健太郎 ©文藝春秋

「快感原則」で行動する人は、あれは運が悪かったとか、環境が悪かったとか、周囲の人が悪かったとか、自分が悪かったことは棚に上げ、なんでもすべて他のせいにしてしまいます。しかし、これを機にまず伊藤さんは自分の責任を自覚しなければいけない。そして、耳に痛いことでも他人の忠告や助言は、今後ちゃんと聞くように心がけないといけません。まさに『良薬は口に苦し』で、真摯に耳を傾ける姿勢をまず作る。それこそが彼のような「未熟な」まま大人になってしまった人が「現実原則」に移行していくために必要なプロセスです。

「快感原則」で行動する人は破滅しやすい

 残念ながら「快感原則」でしか行動できない人は破滅しやすい傾向にあります。私は仕事柄、警察沙汰になるような事件や事故をおこした人の精神鑑定を行うことが多いのですが、彼らの多くは「快感原則」で行動しています。いいなと思う異性がいたら衝動的にレイプをしてしまうとか、欲しいものを見つけたら見境なく奪いにいくとか、カッとなることがあったらすぐ暴力を振るうとか、「快感原則」の赴くままになされる行動は犯罪と直結しやすいのです。

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湾岸署へ移送され、天を仰ぐ伊藤 ©文藝春秋

「快感原則」に1人で向き合っていくのは難しいことです。伊藤さんにもし恋人がいるのであれば、見捨てず支えてあげてほしいと思いますし、あるいはご両親も事態の深刻さを認識して支えてあげてほしい。まだ若いのですから、それこそ逃げずに、真摯に自分と向き合っていけば、ちゃんと立ち直る見込みはある。私はそう思います。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

伊藤健太郎はなぜひき逃げ現場から逃げたのか?「彼は『快感原則』に支配されたまま大人に」《精神科医が分析》

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