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“大阪都構想”は反対多数  「説明を尽くさない姿勢」が示す新政権の弱点とは

“大阪都構想”は反対多数 「説明を尽くさない姿勢」が示す新政権の弱点とは

「説明できることとできないことがある」

2020/11/03

賛成派はメリットのみ、反対派はデメリットばかり? 

 実はこのコラムが比較していたのは当時の安倍首相だった。「首相は長く記者会見を開かず、国民に呼びかけをしていない」。ここでもキーワードは「説明」。

 しかしあれだけ派手にプレゼンした「イソジンその後」がこれなら都構想のプレゼンにだって迷う人もいたかもしれない。都構想はウソのような本当の話なのか、その逆なのか、と。

安倍晋三元首相 ©文藝春秋

 今回の「説明」不足は賛成派だけではない。

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《賛成派はメリットのみを言い、反対派はデメリットばかり言う。とても議論にならない》《私には、反対派と賛成派の議論は「情緒」VS「夢物語」に見える》

 と元NHK記者でジャーナリストの立岩陽一郎氏は書いた(日刊ゲンダイ10月28日付)。

 説明不足が指摘された今回、毎日新聞はこう振り返る。

《最終盤には、大阪市を四つの自治体に分割した場合に行政コストが増えるとした市財政局の試算が明らかになった。財政局は当初、「4特別区のコストを考える一つの目安にもなる」としたが、松井氏が「架空の数字で捏造(ねつぞう)だ」と財政局長を厳重注意。試算を一転して撤回させ、賛否両派で論争が起きた。》(11月2日)

松井市長は「数字の捏造」と財政局長を批判 ©文藝春秋

“行間”を感じる財務局長の会見

 ここで言う「市財政局の試算」を報じたのは毎日新聞だった。報道後、財務局長は松井市長と面談後の会見で自ら「捏造」と表現。

《質問に対して数秒間沈黙するなど、終始厳しい表情を浮かべて、謝罪を繰り返した。》(10月30日)

 試算そのものよりこの会見のほうが大阪市民への影響は大きかったのではないか。それぐらい行間を感じた会見だった。

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