テレビ未放送分を含む全話シナリオを完全収録した『火曜ドラマ おカネの切れ目が恋のはじまり シナリオブック』が10月20日に発売され、大きな話題を呼んでいる。全4回のドラマと比べてわかった、それぞれの魅力とは。ライターの平田裕介さんが考えた。
*以下の記事では、ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』と同作シナリオブックの内容や結末が述べられていますのでご注意ください。
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当初は全8回の予定だったものの、三浦春馬さんの訃報を受けて全4回完結の物語へと再構築してオンエアされた『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)。
第4話を観終えたとき、ようやく始まった恋の行方もさることながら、まだまだたくさん抱えている慶太のほころびを玲子がどう繕っていくのか。ふたりの今後が気になって気になってしかたないなか、放送終了から2週間が経った10月20日に『火曜ドラマ おカネの切れ目が恋のはじまり シナリオブック』が発売された。その両者を読み解き、比べてみることにした。
4回で恋を成就させるのは性急すぎる
大手玩具会社モンキーパスの御曹司で浪費しまくる日々を謳歌していた猿渡慶太(三浦春馬)と、同社の経理部で働く清貧が信条の九鬼玲子(松岡茉優)。御曹司とOL、浪費と清貧、誰が見たって水と油すぎるふたりが、民宿・みずよう館を営む玲子の実家で同居しながら少しずつ惹かれ合う姿に40代後半のオッサンである筆者も思いっきりクスリとさせられ、キュンとしてしまった。
しかし、第2話、第3話と回を重ね、最終話となる第4話が近づくにつれて、この慶太と玲子の恋の行方をどう締めるのだろうかという疑問が頭によぎった。やっぱり、どうしたって4回で恋を成就させるのは性急すぎるんじゃないのかと。
というわけで10月6日に第4話を迎えたわけだが、思いっきりクスリとさせられ、キュンとしたが、それ以上にハッとしてグッときたのだ。
ハッとしてグッときたのは、冒頭から猿渡慶太が「朝6時過ぎにどこかへ出掛けた」として登場してこないこと。第3話のラスト、稲妻に驚く玲子を抱きしめ、ふいに彼女にキスをしてしまう慶太。ふたりの今後が気になって気になってしかたなくなる締め方だっただけに本気で意表を突かれたし、「これでどうやって進めるつもりよ?」とも思ったが、そこに脚本家の大島里美や松岡茉優らスタッフ・キャストが抱く猿渡慶太=三浦春馬さんへの想いが注がれていくのだ。