2020年はスポーツ界にとって大きな苦難が続く年となっている。
もちろん最大の理由は新型コロナウイルスの影響だ。
東京五輪をはじめ、多くの大会が延期や開催見合わせとなり、選手だけでなく各競技のファンたちにとっても大きな影を落とすこととなった。
ただ、そんな世界的な情勢に加えて、個人的にもうひとつ大きな衝撃を受けたのは今年7月のこと。
それは、「週刊少年ジャンプ」で連載されていたバレーボール漫画『ハイキュー‼』の連載が終了したことだ。今月4日には作品の集大成として最終巻となる単行本45巻も発売になっている。
『ハイキュー‼』連載終了で起こった“事件”
もちろん『ハイキュー‼』はそれ自体が人気作品ではあり、その終了は残念ではあったのだが、それ以上にインパクトがあったことがある。
それが、その連載の終了を以て「ジャンプ」連載陣からスポーツ漫画が消えたということだった。これは1968年に雑誌が創刊されて以来、50年を越える同誌の歴史の中で初めての出来事である。
「最近はコミックアプリやウェブ漫画の隆盛もあって、これまでほど各漫画雑誌のブランドが強調されている時代ではないのですが、それでもやはり『ジャンプ』だけは別格です。だからこそ、その『ジャンプ』から“少年漫画の看板”ともいうべきスポーツ漫画がなくなってしまったのは残念ですね」
そう他社の漫画雑誌編集者が残念がるように、これまで多くの人気作を輩出してきた「ジャンプ」からスポーツ漫画が消えたという事実は、漫画界にとって大きな出来事だった。もちろんスポーツ漫画というジャンルのファンにとっても悲しいことだったと思う。
ただ、この事実は、単にエンタメ界での影響だけにとどまらない可能性もあるのだ。
なぜなら、極端な言い方をすれば、現実世界のスポーツにおいても「人気」と「実力」の一定部分は漫画作品の隆盛にかかっていると言っても過言ではないからである。