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 ただ、それでもスポーツ漫画が持つ独特の魅力を感じている編集者も多い。

「やっぱり少年漫画の編集者になった以上は、スポーツ漫画には憧れます。ある意味での社会貢献というか、読者の少年・少女にストレートに夢を与えることができる。スポーツ漫画を起こせてはじめて『自分は少年漫画の編集者になったんだなぁ』と思えた気がしましたから」(別の漫画雑誌編集者)

1981年から1988年まで連載の高橋陽一『キャプテン翼』

 そんな風にある意味での「内輪人気」は高いジャンルだけに、スポーツをテーマにした新作が続かないという現実は、漫画界の“外”の世界の影響も無視できないような気がするのだ。

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新たなスポーツ漫画登場のために期待すること

 ここのところ東京五輪の延期というネガティブ要因も相まってか、各競技から良いニュースだけでなく、アスリートの人間性が問われるような報も多く耳にする。

 いうまでもなく、多くの少年・少女が憧れ、その競技に打ち込みたいと思ってくれることこそが、競技全体のレベルアップには欠かせない。そしてスポーツ漫画の存在というのは、その“憧れ”のバロメーターともいえるのではないだろうか。

 だからこそ、少しでも早く「ジャンプ」にスポーツ作品が帰ってきてほしい。そして、それに見合う魅力を備えた競技や選手が出てくることを願うばかりである。

©文藝春秋